遺言書とは
公開日: 2020年07月29日
更新日: 2022年05月20日
- 相続・遺言
遺言書とは
遺言書とは、死後に行われる財産の処分方法、相続、諸々の手続きについて、自分の死後に関しての希望を書面にして残した法的な書類のことをいいます。
相続を円満に進めるために
相続は、人が亡くなると必ず発生するもので、遺産の種類や相続人の人数、被相続人との関係、相続人それぞれの感情、など内容は個人により様々です。
そのため、相続人間での話し合いで意見が対立し、親密であった親族同士でも仲が険悪になってしまうことも少なくはありません。 推定相続人は仲の良い兄弟のみで、法定相続分で遺産分割をするから問題ないと思われる方も多くいらっしゃいます。
しかし相続が開始すると、自分たちの要求が通らず、話の折り合いがつかなくなり、トラブルになってしまう場合もあります。 また、自宅不動産しか相続財産がないにもかかわらず相続人が複数いる、推定相続人の人数が多い、前妻の子がいる、認知症など話し合いに参加しづらい人がいる、特定の相続人に多くの贈与がされているなど相続においてトラブルになりやすいケースは多数あります。
上記に記したトラブルが起こらないように、スムーズに相続を進めるにあたり、遺言書を作成しておくことで、万が一の場合にも安心して遺族が相続できます。
希望通りに遺産を分けたい
遺言書を作成することで、自分の遺産についての希望を残すことができます。 例えば、「代々受け継いできた自宅を売ってほしくない」、「銀行の預金は孫の教育資金のために残したい」などのご希望も遺言書を残すことで実現できます。
また、「仲良くしてもらっていた友人に遺産を分けたい」「介護をしてくれた義娘に遺産を渡したい」など、推定相続人ではない人に遺産を渡したいという遺贈の希望がある場合も、遺言書を作成することで実現することが可能です。
遺言書の種類と特徴
遺言書には大きく3つの種類があります。
自筆証書遺言
遺言者が自筆で作成する遺言書で、特に費用も掛からず、手軽に作成できます。 しかし、保管は遺言者自身で行うので死後発見されない場合や、遺言書そのものを紛失する恐れがあります。
また、保管は遺言者自身で行うので死後発見されない場合や、遺言書そのものを紛失する恐れがあります。 自筆で書かれていない場合や、遺言者以外が記した部分がある場合などの遺言の方式を守らなければ無効になってしまいます。 ただし、財産目録についてはパソコンでの作成や通帳のコピー等の添付でも有効です。
公正証書遺言
遺言者が遺言の内容を公証役場の公証人に口述し、それを証人が文字におこし、作成する遺言書です。 公証人が作成するので遺言が無効になる可能性が低く、原本は公証役場に保管されるため自筆証書遺言のような偽造や紛失の心配はありません。 しかし、公証人と証人2人を選出する必要があり、その2人には遺言内容を知られてしまいます。
秘密証書遺言
遺言者自身が遺言書を作成し、内容を秘密にできる遺言書で、公証人が遺言書の存在を証明し、公証役場に記録を残すことができます。 しかし、遺言者本人が保管をするため、紛失されたり、死後発見されないままになってしまったりする可能性があります。
おすすめの遺言書は?
確実に遺言書を残すことができるのは公正証書遺言です。 費用がかかりますが、公証人立会のもとで遺言の方式にそって作成するため、遺言書が無効となる可能性は低いです。
また、遺言書の原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざん、遺言書が発見されないといった心配もありません。
また、遺族へメッセージを残しておきたい場合は法律上の効力はありませんが、「付言事項」として残すことができます。
遺言書の検認
相続の際、遺言書が存在する場合には、法律で定められたことよりも遺言書の内容が優先されます。 自筆証書遺言は勝手に開封してはならず、家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人などの立会いのもとで、遺言書を開封し、内容を確認します。 封印がしてある遺言書を家庭裁判所で検認をせずに勝手に開封してしまうと、罰則がありますので、注意しましょう。
また、遺言書の検認とは、その遺言書の形状や訂正の状態等、検認の日の内容を明確にし、偽造・変造等の防止するための手続きになります。 自筆証書遺言を開封するためには、必ず遺言書の検認が必要です。
もしも遺言書の検認手続きをしなかった場合は、遺言書に記されている不動産の名義変更などの各種手続きを進めることができません。 遺言書の検認後は、検認済証明書が付いた遺言書を使い、相続手続きを進めていきます。 なお、遺言書の検認は、遺言者が最後に住んでいた地域の家庭裁判所に対して請求しますので、遺言者の出生から死亡まで全ての戸籍や相続人全員の戸籍謄本等の書類を添付しなければなりません。
遺言書の検認を請求する際には、戸籍謄本などの必要書類を何点か添付することがありますので、検認の手続きを進めることにご不安がある場合には、専門家にご相談し、一緒に手続きを進めることをおすすめします。
遺言書には、一部の資産家が残すといったイメージがあり、資産家ではない自分には関係ないと思われる方もいるかもしれませんが、遺言書は多くの遺産がある資産家のみが利用するものではありません。 どのような方でも遺言書を残すことで得られるメリットは大きいです。
遺言書の執行を頼める人がいない方
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