介護難民にならないために
公開日: 2020年07月27日
更新日: 2022年04月08日
- 介護・高齢者施設
介護に関わる問題の一つとして、近年日本で増加している「介護難民」が挙げられます。
介護難民とは、身体や精神に問題を抱えていて介護が必要であるにも関わらず、十分な介護サービスを受けられない人を指します。
ここでは、介護難民の現状とその対策についてご説明していきます。
◆日本での介護難民の現状
介護難民の数は増加傾向にあり、2025年頃には全国で約43万人の方が介護難民になると推測されています。
この2025年は、1947年から1949年に生まれた第1次ベビーブーム世代の人が75歳以上の後期高齢者になる年でもあります。
高齢者が増えていく中で、施設に入れない人、必要な介護サービスを受けられない人、施設の入居待ちが続いている人がますます増えていくことが予想されます。
介護難民の多くは東京都、埼玉、千葉、神奈川の首都圏に集中しており、全体の3割を占めます。
これは団塊の世代が1960年代~1970年代初頭にかけての高度経済成長期に、集団就職などで地方から東京に大規模な流入をして、人口が東京圏に一極集中したことによるものといわれています。
一方、地方の町村部などにおいては、大都市への若者の流出や高齢化の進展による労働力不足が深刻化しつつあり、介護施設はあっても介護や医療の現場で働く人材がいないというケースも見受けられ、介護人材の不足問題となっています。
◆介護難民が増加している原因は?
介護難民が増加している原因は次のようなことが挙げられます。
①高齢者の増加
1947年から1949年に生まれた第一次ベビーブーム世代が、2015年の段階で65歳を超えています。
この3年間に生まれたいわゆる団塊の世代と言われる約800万人の人々が、徐々に介護サービスを必要としてきています。
また、医療の発展による平均寿命の増加により介護利用者が増えたことも原因の一つです。
今後もベビーブーム前後で生まれた団塊世代がどんどん高齢者に加わってくるため、さらに介護難民が増えていくと考えられています。
②介護施設・介護人材の不足
介護を必要とする高齢者が増えれば、介護サービスの需要が当然高まりますが、サービスを提供する事業所やそこで働く介護職の人員不足が深刻となっています。
高齢化を受けて、介護サービス事業を展開しようとする人や企業は少なくないものの、実際に展開しても、働き手の確保が難しいという現状があります。
介護人材の不足の原因の一つに収入の低さが挙げられます。
介護従事者の平均的な給料は月収平均が21万円程で、手取りが10万円台という介護職員も少なくありません。
「低賃金・重労働」というイメージの強い介護職には、実際の業務の大変さもあり、人材がなかなか定着しないという現実もあります。
③家庭内で介護ができない人が増えている
親家族と子家族が同居せず離れて暮らす人が増えたこと、核家族化、夫婦共働きが増えたことなどにより、家庭内で介護ができなくなってきたのも介護難民の増加に拍車を掛けています。
④費用
介護保険制度はあるものの、費用が少ないと受けられるサービスも限定されてきます。
費用不足で本来受けたい介護が受けられず、介護難民となってしまうケースも少なくありません。
◆介護難民に対する国の施策
①地域包括ケアシステムの構築
地域包括ケアシステムとは、高齢者が重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供するシステムであり、高齢者の介護を施設から地域や在宅へ移行させることを進める取り組みです。
買い物や見守りなどの生活支援、介護予防への取り組みや24時間対応の定期的な巡回・随時対応の介護サービスなど、地域ぐるみで高齢者をサポートする取り組みでもあります。
②介護施設不足の対策
介護施設の不足を緩和するため、政府は首都圏を中心に空き家を介護サービスや医療ケアに対応した住宅として転用し、整備していく方針を表明しています。
近年では民間企業でも空き家を介護・福祉の拠点として活用する事業を展開する事例も見られるようになってきました。
③介護人材不足の対策
介護人材不足への対策としては、外国人介護士の受け入れに関する施策があげられます。
介護の現場で働く為の就労ビザができ、外国人の介護人材を確保できるようになってきていることや、国内においては、賃金改定がなされ、合計月額5.3万円に相当する改善が行われています。
◆介護難民にならないために
介護難民が今後増えていく中で、どのようにしたら介護難民にならずに済むのでしょうか。 まず、老後の資金確保が重要です。
介護に使える資金が多ければ多いほど利用できる介護サービスや入居できる施設の選択肢が多くなり、逆に資金が少ないと利用できる施設が費用の比較的安い公的なものに限られてしまう現状があります。 介護難民になるのを防ぐうえで老後の資金計画は重要となってきます。
]また、介護施設に早期入居することも大切になってきます。
現在、介護難民を解消するための施策がとられていますが、実際に数年のうちにすべてが解消することは難しいと考えられます。
介護が必要になった時に、施設にすぐに入居できるとは限りません。
核家族化が進み、家族に老後の生活をサポートしてもらない人も増え、介護施設への入居を検討する人が今後増えていきます。
特に身寄りがない方、お子さまに負担をかけたくない方、頼れる親戚がいない方は、お元気なうちから計画を立てることが大切です。
介護施設に入りたいが身元保証人を頼める人がいない方
介護施設に入る際には身元保守人(連帯保証人)を聞かれます。 しかし、最近では家族や親戚などがいない独り身の高齢の方が増えていて、頼める人がいないという不安を抱えている方も多いと思います。
そのような方は「身元保証相談士協会」に相談してみましょう。
「身元保証相談士協会」とは、お客様が安心して身元保証人を頼めるよう、独自のシステムを開発し、提供している身元保証相談士の民間資格団体です。 全国93拠点の会員が
「身元保証相談士協会」ではきちんとした身元保証業務を担当するために、6つの公正証書による契約を通じて、「身の回りの事務代行」「将来の認知症対策」「信託口座によるご逝去後に発生する費用の預入れ」「医療や治療方針の指示」「葬儀や供養の手配などの死後事務」「遺言書による遺産相続の方針の確定」を決定していきます。
何か老後や死後の事務作業に関して分からないことや不安なことがある方は、専門の方を頼ってみると良いでしょう。
あなたの安心の身元保証をサポート まずはお気軽にご相談ください。
地域の身元保証相談士
選びを手伝います