要介護認定とは?段階別の目安と認定までの流れを丁寧に解説!
公開日: 2022年04月22日
更新日: 2022年04月22日
- 介護・高齢者施設
介護保険における要介護認定とは、どのようなものでしょうか。
ここでは、要介護と要支援の違いや、介護度別の基準について解説します。
また、認定の申請をしてから、認定調査、結果通知までがどのように行われるのかという点についても見ていきましょう。
更に、認定を受けた後、介護サービスを受けるまでの流れも説明します。
要介護認定とは
要介護認定とは、日常生活の中でどの程度の介護が必要かを判定するものです。
この認定を受けることで、介護保険のサービスが使えるようになります。
身体が不自由になって思うように生活できなくなった高齢者、または認知症になった人は生活の支援や身体介護が必要です。
この時、介護保険を使えば少ない自己負担でサービスを利用できます。
しかし、介護保険を使いたいと思ったら、まずは自治体に介護が必要だと認めてもらう必要があるのです。
自治体の窓口で申請をすると調査が行われ、それに基づいて介護度が決まり、サービスの利用が可能になります。
介護度は心身の問題が軽いほうから順に、要支援1~2、要介護1~5の7段階です。
この段階によって、受けられるサービスの内容がそれぞれ定められています。
要支援と要介護の違いは?
要支援
基本的に日常生活は1人で行えるけれども、支援が必要な部分があるという状態を指します。
必要なのは「支援」であって、まだ「介護」は必要でないという判定です。
要支援は、1と2の二つの段階に分かれています。
要支援の人が利用できるサービスは、「介護予防サービス」と呼ばれているものです。
できるだけ自立して生活するための支援として、要介護にならないよう予防のためのサービスを受けるということになります。
なお、要支援とされる基準よりも心身のトラブルが軽度の人は、どうなるのでしょうか。
この場合、介護認定の結果は「非該当」と通知され、介護保険によるサービスは利用できません。
要介護
1人では日常生活が送れなくなった状態を、要介護といいます。
身体的な障害や認知症により、介護が不可欠になった状態です。
要介護の段階には1から5までがあり、数字が大きいほうが介護度が重いとされます。
このような認定を受けた人が利用するサービスは、「介護サービス」と呼ばれるものです。
要介護認定の区分基準
要介護認定の判断には、要介護認定等基準時間というものが用いられています。
これは、介護に必要な時間の目安を示すものです。
認定の調査では、対象者の自宅を訪問し、その人の状況を聞き取ります。
その際、本人の能力や必要な介助の方法、障害等の有無をもとに、要介護認定等基準時間の計算が行われるのです。
この時間が長いほど介護に手間がかかるので、介護度も重いと判定されることになります。
要支援1
介護認定の中でも最も軽いものです。
基本的に1人で生活することはできますが、複雑な動作などに問題がある状態を指します。
そのため、生活の中で部分的に見守りや介助が必要になっていると判断されるのです。
要介護認定等基準時間は、基本的に25分以上32分未満ということになっていますが、これに「相当する」と認められる状態なら要支援とされる場合があります。
要支援2
要支援1と同じく、基本的には1人で生活することが可能な状態です。
ただし、要支援1よりも介助が必要な部分が増えたという判定になります。
例えば、要支援1の時は、立っている時・歩く時などに「時々」支えが必要ですが、その頻度が高くなった状態です。
要介護認定等基準時間は、基本的に32分以上50分未満となります。
要介護1
基本的に1人で生活出来る状態ではありますが、部分的に介護が必要となった状態です。
思考力や理解力の低下があり、問題行動も出てくる段階とされます。
要介護認定等基準時間は、基本的に32分以上50分未満です。
時間的には、要支援2と同じですが、認知症の有無などにより介護が必要と判断されます。
要介護2
要介護1と比べて、更に運動機能や思考力・理解力が低下した状態で、問題行動がみられる人も多くなります。
そのため、食事や排せつ、入浴などの際、介助が必要となった状態です。
要介護認定等基準時間は、基本的には50分以上70分未満となります。
要介護3
自分で立って歩くのが難しくなり、日常生活における全面的な介護が必要な段階となります。
要介護2では、手助けが時々必要という程度ですが、この段階では常に介助が必要です。
要介護認定等基準時間は、基本的には70分以上90分未満となっています。
要介護4
要介護3と比較すると更に機能が衰えてしまい、介護なしでは全く生活できない状態です。
自分で立って歩くことは、ほぼ無理な状態、認知症で意思疎通が難しい場合などがこれにあたります。
要介護認定等基準時間は、基本的には90分以上110分未満です。
要介護5
寝たきりの状態であり、意志の疎通ができないこともある状態です。
この段階では、介護なしでは生活が不可能になります。
要介護認定等基準時間は、基本的には110分以上です。
要介護認定の流れ
申請
認定を受けるためには、本人が住んでいる市区町村の窓口で申請しなくてはいけません。
申請書を提出する際には、介護保険被保険者証を見せる必要があります。
40〜64歳までの人(第2号被保険者)は、まだ介護保険被保険者証をもらえないので、代わりに医療保険証を持っていきましょう。
訪問調査
申請を出すと、認定調査員が聞き取り調査をします。
調査を行うのは、本人が住んでいる自宅や施設です。
本人や家族から心身の状態を聞き取り、どの程度の介護が必要なのかチェックしていきます。
身体の動きなどは、実際に動作をさせてみて確認することもあります。
主治医の意見書
本人の主治医が本人の状態について診断結果をもとにした意見書を書き、自治体側に提出されます。
意見書を書いてもらうための依頼は、自治体から行われることになっており、本人の費用負担はありません。
意見書には、本人の病気や障害の状況が一定の書式に基づいて書かれます。
主治医がいない人は、自治体から紹介された医師に診断してもらうことが必要です。
一次判定
訪問調査と主治医の意見書が揃ったら、その結果をコンピューターに入力し、判定を行います。
この判定により、要介護認定等基準時間が計算されるのです。
ここで、生活介助や認知症への対応、機能訓練、医療措置に必要な時間が算出されます。
二次判定
保健・医療・福祉の専門家からなる介護認定審査会が、二次判定を行います。
ここで使われるのは、一次判定の結果と、訪問調査での特記事項、主治医の意見書です。
この二次判定によって、最終的に介護度が決まります。
結果通知
市区町村では介護認定審査会の二次判定に基づいて要介護認定を行い、本人に通知をします。
申請から通知までに要する期間は、おおむね1~2か月程度です。
通知された認定に疑問がある場合は、市区町村の担当課で理由を聞いてみましょう。
もし不服がある場合は、各都道府県に設置されている介護保険審査会に申し立てることもできます。
認定の有効期限・更新
高齢者の状態は変化するものなので、介護度認定には有効期限があります。
最初に認定を受けた時は、申請日から6か月が有効期限となり、その後も続けて介護を受けたい時は更新の申請が必要です。
更新した後、再度更新する場合は有効期限が1年となります。
期限が切れる2か月前には、更新の申請をしておくようにしましょう。
介護(予防)サービスの利用
介護サービスには、介護度によって受けられるものが決まっています。
一定の介護度に達しなければ利用できないサービスがあるので、注意が必要です。
介護予防サービス
要支援1、2の人が利用できるものを、介護予防サービスと呼びます。
できるだけ自立した生活ができるように支援し、心身の状況が悪化するのを予防するという意味合いがあるのです。
このサービスを利用するには、まず介護予防ケアプランを作成する必要があります。
ケアプランとは、どのようにサービスを利用するかという計画のことです。
要支援の人のケアプランは、本人の生活している場所に近い地域包括支援センターに作成してもらいます。
地域包括支援センターの職員と話し合いをして、必要なサービスを選びましょう。
なお、要支援の人が利用できるのは、居宅サービスです。
自宅で生活しながら訪問介護を受ける、施設に通所する、自宅の改修をしてもらうなどのサービスがあります。
介護サービス
要介護1~5の人が利用できる介護サービスには、居宅サービスと施設サービスがあります。
自宅で生活しながら受けるサービスだけでなく、施設に入所して生活することもできるのです。
自宅で生活しながらサービスを受けるのであれば、居宅介護支援事業者でケアマネージャーと契約します。
要介護の人の場合は、このケアマネージャーと話し合ってケアプランを作成してもらうことになっているのです。
一方、施設に入所する場合は、まず介護施設を選ぶ必要があります。
ケアプランは、その施設のケアマネジャーが作成することになるのです。
介護サービスを受けたい時は要介護認定までの流れを押さえておこう
自分や親が介護サービスを利用したことのない人は、介護認定がどのようなものか知らないことも多いでしょう。
認定の結果次第で、利用できるサービスや手続きの進め方が異なってくるので、確認が必要です。
一度認定を受けた後も、更新を忘れるとサービスを受けられなくなることがあります。
認定までの流れや仕組みなどを理解した上で、介護認定の申請をしましょう。