老人ホームの選び方
公開日: 2022年05月31日
更新日: 2022年06月07日
- 介護・高齢者施設
老人ホームランキングは参考にすべきか?
昨今、さまざまな事柄において良いとされるものをランキング形式で紹介することが増えています。
例えば、住みたい街ランキングやおすすめお取り寄せ食材ランキングなどは、ネットのニュースサイトなどで見る機会もあるでしょう。これらのランキングを参考にして商品を選ぶ人も少なくありません。
有料老人ホームに関しても例外ではなく「おすすめ有料老人ホームランキング」を紹介しているサイトは数多く存在します。
サイトによっては実際に利用している方や見学に行かれた方が評価をし口コミを書いているため、信ぴょう性のある情報かもしれませんが、必ずしもすべてを鵜呑みにすることはおすすめできません。
その理由としてあげられるのが、老人ホームを利用する人はお一人おひとりの考え方が違うことにあります。
老人ホームに入居される理由もお身体の状態も、老人ホームで望まれる生活もみなさん異なります。実際にランキングの順位が振るわない施設であったとしても、満足して楽しく過ごされている方はたくさんいらっしゃるのです。
ランキングはあくまで評価する方にとっての価値や平均値であり、すべての人があてはまるわけではありません。それゆえ有料老人ホーム選びは本人、ご家族、関係する医療・介護の専門職の方の話を参考に、どのような施設がマッチするかをしっかりと見極める必要があるでしょう。
東京の介護施設の数は大手コンビニエンスストアとほぼ同数
現在、東京都内に有料老人ホームを含む介護施設はどのくらいあるかご存知でしょうか。実は、公的施設と民間施設の両方を足すと3,000近くの施設が存在します。
この数は大手コンビニチェーンであるセブン-イレブンジャパンが東京都に展開する店舗数とほぼ変わりません。(2022年3月末で2848店舗 (株)セブン-イレブンジャパンのHPより)
◇介護施設一覧(令和3年5月1日時点) 東京都福祉保健局
よく見かけるコンビニと同じぐらいある介護施設の中から、ご自身にあった施設を見つけるのは大変だと思われるかもしれません。今は多くの介護施設がインターネット上に写真や動画を載せ、施設の雰囲気が伝わるようにと工夫をしているため、昔よりは情報を得やすくなりました。
しかしながら簡単に情報を閲覧できる分比較し続けてしまい、いつまでも決められないというケースも少なくないでしょう。
特に、希望エリアに同じ類型の施設が数多く存在し、入居金や月額費用も大きく変わらない場合には何を基準にして選んでよいのかわからず、ランキング紹介や口コミを参考にしたくなることも大いにうなずけます。
そのような場合にご利用いただきたいのが、有料老人ホームの紹介サービスです。
上記でもお伝えしたとおり、有料老人ホームを利用するのは人であるため、希望もさまざまです。民間介護施設紹介センターのみんかいでは相談員がお客様と直接顔をあわせてお悩みをお伺いし、その方の希望に沿った介護施設を紹介しています。
ご自身で情報を集めるのも大切ですが、専門家に相談することで本人も気づいていなかった内心や、ご自身にとって譲れない希望を見つけるきっかけとなることもあるのです。
下記にて、情報を精査できずお母様の施設入居を決めきれなかったご相談者様のケースをご紹介させていただきます。
ご相談事例
■1回目の面談
A様は認知症を患う80歳のお母様(要介護3)の介護施設を見つけるため、ご相談にいらっしゃいました。
87歳(要支援1)のお父様と一緒に暮らしていたお母様は感染症から敗血症をおこし、現在入院中とのこと。すでにお父様による老々介護が3年ほど続いていた状態であったため、お母様の施設入居の検討をはじめたそうです。
ご相談者様のA様はお母様に適した施設を見つけるため、熱心に情報を収集されていらっしゃる方でした。自宅近隣の有料老人ホームのパンフレットも10社以上集め、すでに半分近く見学もされていらっしゃいました。
またインターネットでの情報収集も怠らず、有料老人ホームランキング特集等も熱心に調べられているようでした。
それゆえ、お会いした当初から「自分が見学した施設の中でどこがお勧めか、またそれ以外に良い施設があったら教えてほしい」とパンフレットをならべ、各施設の特徴をご説明くださりました。
途中でご両親のご要望や状況をお伺いしたかったものの、施設の概要について確認したいことが山積みであったようでなかなか話が進みません。
情報の整理が落ち着いたところでA様がふと、「父を納得させられるか不安…」と言葉を漏らしました。A様が施設をいろいろと調べているにも関わらず入居に踏み切れなかったのは、どのようにお父様にお母様の老人ホーム入居の話をすべきか、2人を別々に住まわせて良いのかの決心が固まらず、悩んでいたからだったのです。
A様にお父様についてお話を伺ってみると、少しずつ現状や問題点が見えてきました。
- ケアマネージャーの勧めたお母様の特別養護老人ホーム入居について、お父様が断った過去がある。そのことをきっかけに施設入居の話題は避けてきた。
- お母様の退院後はお父様が自宅で介護をすると言いはり、A様と喧嘩になっていた。
A様自身も自宅でお母様の介護を協力できないことに対し、罪悪感があるようでした。また、お母様が一度危篤状態になったことやお父様の負担を思うと早めに入居の検討を進めた方がよいと考えるものの、お父様との意見の食い違いに精神的にもまいっている状態だったのです。
当事者や配偶者が有料老人ホームの入居に消極的なのはよくある話であり、ご自宅を離れたくないというのももっともなお気持ちです。
親の介護を当たり前に行ってきた世代ですので、他人がお世話をする介護施設への入居は感覚的に受け入れ難い方が今でも多くいらっしゃいます。また、子どもから施設入居の話を示されると「義務の放棄している」「捨てられた」と思い込み、揉めてしまうケースもあります。
この日は有料老人ホームのご紹介はせず、A様にご両親様のご生活や普段のご様子についてのみをお伺いし、今後の予定を調整して面談を終了しました。
■2回目の面談
2回目の面談はあえてA様にはご退席いただき、A様のお父様とのみ面談を行いました。イメージしていたよりも温厚なお父様は、囲碁を通じて人付き合いも活発にされている方のようです。
その後もご自宅や入院先にて面談を行った結果、次第にお父様のご意向や本音をうかがえるようになったため、おすすめの施設をご提案いたしました。
最終的にお父様が選ばれたのは、A様が本命としていた施設とは別の施設でした。またご夫婦お2人で同じ施設に入居し、別の部屋にて生活することを選ばれました。
先述の通り、人によって老人ホームに入居される理由もご要望も異なります。最終的に利用するご本人や一緒にいる配偶者等が納得する施設を選ぶのがなによりです。
ご相談者様であるA様も色々と施設の評判等を調べていらっしゃいましたが、「父が決めたところならば自分も満足です」とおっしゃってくださいました。
今回のご相談のように、施設の紹介以前に家族の納得が得られず施設の検討が進まない方もとても多いのです。しかしながら実際に「キーパーソン」の方にも直接お話を伺うと、必ずしも心を閉ざしているわけではなく、本音を語ってくれるケースもあります。
冒頭に述べた通り、他人が評価したランキングも参考のひとつではありますが、本当に大切なのは利用する人の声を聞きとり、その人にあった介護施設をマッチングすることです。
ご家族の関係性やご状況に応じて柔軟な対応が可能なのが、対面型の有料老人ホーム紹介センターの強みともいえるでしょう。
インターネットの情報のみならず、老人ホーム選びにお悩みの方は、一度有料老人ホームの紹介サービスをご活用いただいてはいかがでしょうか。