高齢者の介護を支える地域包括支援センター!役割や業務をご紹介!
公開日: 2022年01月21日
更新日: 2023年03月13日
- 介護・高齢者施設
高齢者の利用する施設として、地域包括支援センターというものがあります。
これは、どのような施設なのでしょうか。
ここでは、地域包括支援センターの役割について解説します。
また、センターを利用できる条件や費用、スタッフについても、見ていきましょう。
地域包括支援センターの特徴を知ると、様々な利用方法が見つかるかもしれません。
地域包括支援センターとは?
お年寄りとその家族等のための身近な相談場所であり、地域で連携して高齢者を支える拠点でもあります。
多くの人が使うのは、要支援の人が介護サービスを受ける時や、老齢の方について心配事がある時でしょう。
ここには、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャー等が勤務しており、様々な相談に乗ってくれるのです。
また、厚生労働省では、住み慣れた地域で自分らしく老後を過ごせるように、地元の介護関係者・病院・行政等が連携するシステム(地域包括ケアシステム)作りを目指しています。
このシステムの中心となるのが、地域包括支援センターです。
その数は全国で5000箇所を超えており(令和3年4月時点)、支所を含めると7000箇所にのぼります。
なお、世田谷区の「あんしんすこやかセンター」のように別の名称がつけられている場合もありますよ。
地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違い
似たような名称で混同されやすいのが、居宅介護支援事業所です。
ここは、ケアプランを作成し介護サービスを適切に使う手伝いをする所と考えるとよいでしょう。
対象となるのは、介護認定で「要介護」の認定を受けた人だけになります。
ここで対応してくれるのは、ケアマネジャーです。
一方、地域包括支援センターの仕事にもケアプランの作成が含まれますが、「要支援」の人が対象です。
また、ここではお年寄りに関することなら、介護以外の問題も扱います。
そのため、保健師や社会福祉士なども所属しているのです。
例えば、お年寄りが詐欺に合わないようにするにはどうしたらよいか等という相談を受けることもあります。
更に、行政や近所の病院等と連絡を取り合い、協力して地域ぐるみで高齢者を支える体制作りも担うのです。
なお、地域包括支援センターは自治体か、自治体から委嘱を受けた団体が運営しています。
一方、居宅介護支援事業所は完全に民間の団体であり、自治体が運営しているわけではありません。
地域包括支援センターの利用条件
利用できるのは、基本的に65歳以上の人とその支援者です。
お年寄りが自分で出向いてもよいですし、家族でも対応してくれます。
お年寄りの生活に関連することで、疑問や困り事があれば気軽に足を運んで話ができる場所です。
一人暮らしの老人を心配する隣人でも、相談ができます。
ただし、どこでも良いというわけではなく、本人の住まいに近い所を利用しましょう。
これは、それぞれのセンターが、地元の実情に詳しく、問題解決のためにその土地の様々なサービスを利用するためです。
例えば、老親が遠方に住んでいる場合には、自分の近所でなく親の住まいの近くで探しましょう。
なお、40歳から64歳の人で、ガンなど特定の疾病が原因で介護を希望する場合には、介護保険の利用ができるケースがあります。
64歳以下の人でも、介護が必要な時はセンターに相談をしてみましょう。
地域包括支援センターの4つの業務
介護予防ケアマネジメント
介護認定の結果、「要支援」となった人に、介護予防サービス利用のサポートをする仕事です。
まずは、本人や家族の話を聞いたうえで、ケアプランの作成をします。
ケアプランとは、どんなサービスをどのくらい使うかという計画のことです。
今現在困っていることに応じて、必要なものを考えてくれますよ。
例えば、運動機能・認知機能を維持するためのリハビリや、栄養改善の指導、口腔ケアなどのサービスを紹介しています。
計画が決まったら、介護保険の手続きやサービスを提供する事業者との契約も援助します。
総合相談・支援
お年寄りの生活に関する色々な困りごとを聞き取り、対応策を探る仕事です。
国や市町村にはお年寄りを支える様々な制度があるので、その中から本人の困りごとに対応できるものを紹介します。
年を重ねると、生活上に色々と不便や不安が出てくるものです。
例えば、1人暮らしで急に体調を崩したらと不安に思うことがあるかもしれません。
自治体によりますが、緊急通報装置の貸出や、見守りを兼ねた配食サービスを紹介する例もあります。
足腰が弱ってきて生活に困った時も、必要と判断すれば、地元で使えるサービスや介護認定の手続きに繋げてくれるでしょう。
包括的・継続的ケアマネジメント
地域全体でお年寄りの生活を守るために、医療・介護・福祉に関わる専門職と地域住民でネットワークを作ります。
これらの人々が連携して、地元のお年寄りに関する様々な課題に取り組む仕組みです。
例えば、地域ケア会議といって行政職員や地元の医療関係者・介護事業者が集まり、その土地ならではの課題について話し合いをします。
これによって、専門職も含めた連携ができ、お年寄りが住みよい地域づくりに繋がるのです。
また、対応の難しいお年寄りのケースに悩む介護職員に対し、ケースカンファレンスを行う仕事も行われています。
権利擁護
お年寄りの権利を守り、被害を予防するための仕事です。
例えば、家族等からの虐待を疑うような場合には、対応を検討してくれるでしょう。
その他、お年寄りが悪徳商法や詐欺に巻き込まれないよう予防したいという相談への対応もあります。
また、認知症等で金銭の管理がうまくできないケースの場合、成年後見人選任の手続きを支援する場合も。
お年寄りは心身の衰えや立場の弱さからトラブルに巻き込まれやすいので、安心して生活できるよう活動をしているのです。
地域包括支援センターに所属する職員
保健師
保健師とは、保険の指導をする資格を持った人のこと。
看護師の資格を取った上で、公衆衛生について学んだ医療職の一種です。
ここでは、お年寄りの健康と介護に関する仕事を担います。
ケアプランを作るほか、地元の病院と連携し介護予防教室・健康増進教室などを開催している例も。
お年寄りが健康診断を積極的に受けるよう、お勧めする仕事等もあります。
社会福祉士
社会福祉士は、福祉サービスに関する専門家です。
主に総合相談・権利擁護の仕事を担当しています。
国や市町村には様々な福祉サービスや制度がありますが、その中から必要なものを選び手続きをするのは難しいものです。
社会福祉士は、これらのサービスや制度に詳しいので、「どれを利用すればよいのか」「どうやって使うのか」等相談に乗ってくれるでしょう。
主任ケアマネジャー
センターに所属する職員としては、主任ケアマネジャーも挙げられます。
通常のケアマネジャーよりもワンランク上の資格を持つ人です。
介護の専門家としての経験や知識が豊富で、ケアマネジャーのまとめ役や指導ができる資格となっています。
地域全体の介護予防について考える仕事を中心に行っているスタッフです。
地域ケア会議の開催や、地元で活動するケアマネジャーの相談に乗るなど、多様な仕事を担っています。
地域包括支援センター利用のメリット
相談が無料でできる
自治体によって設置・運用されているので、相談自体は無料です。
全国どこでも、相談したからといって料金を請求されることはありません。
従って、お年寄りに関わることで聞きたいことがあれば、気軽に足を運びたいものです。
直接出向くことが難しい場合には、電話で話を聞いてもらうこともできますよ。
なお、その結果、何かのサービスを利用する際は、料金が発生する場合があります。
ただし、介護保険を使う場合は1割(所得によっては2~3割)負担で済み、市町村独自に設定されている高齢者向けサービスも安価な設定や無料となっているものもあるのです。
成年後見人を付ける場合等は一定の料金がかかることもありますが、相談の中で料金についても丁寧に聞いておくとよいでしょう。
総合的な相談に乗ってもらえる
相談できるのは、介護に関する事に限りません。
介護だけでなく、福祉・医療などの専門家もいるため、総合的な対応が期待できます。
お年寄りの悩み・問題は様々な要因が絡まっており、一見介護の問題のように見えても、介護以外の方法で解決できる場合があるのです。
例えば、地域のコミュニティを紹介してもらうことで元気を取り戻し、介護予防に繋がる例もあります。
「1人暮らしで寂しい」という悩みや「遠方に住む老親が心配」など一見漠然とした問題でも、このセンターでは対応できる知恵や手段を幾つも持っているのです。
「このサービスを受けたい」ということが、明確でなくても構いません。
地元ならではの対応手段を、専門的・総合的な視野で探してくれるはずです。
介護以外でも頼れる地域包括支援センター
お年寄りにとって、地域包括支援センターは心強い味方です。
身近な場所にあることが多く、利用は無料なので気軽に相談できます。
様々な分野の専門家がいるということに加え、地域の実情やサービスに詳しいので、具体的な解決に繋がりやすいのが特徴です。
要支援になった時に初めて利用する人も多いかもしれませんが、それ以外でも困った時には相談してみましょう。