【高齢者向け】もしもの時に頼れる身元保証人がいない場合の対処法
公開日: 2025年02月13日
更新日: 2025年02月13日
- 介護・高齢者施設
- 身元保証
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病気や怪我で入院が必要になった時や、高齢者施設への入居時など、何かと求められる「身元保証人」。しかしながら、ご高齢で身寄りのない方や、ご家族・ご親族に頼ることができない方など、身元保証人を立てることができずお困りの方は少なくありません。
身元保証人がいないとどうなるのでしょうか。
ご高齢者にとって身元保証人は何のために必要なのか、身元保証人がいないと何が問題なのか、身元保証人について誰に相談すればよいのか、こちらのページで詳しく解説いたします。
身元保証会社を選ぶ時のポイントもお伝えしますので、身元保証人がいなくてお困りの方はぜひ参考になさってください。
身元保証人の主な役割
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身元保証人とは、その名のとおり身元を保証してくれる人であり、ご本人に何かあった時には代わりにその責任を負う人物です。その具体的な役割はどのようなものなのか、確認していきましょう。
身元保証人について
就職や賃貸契約のほか、怪我や病気で入院する際や、高齢者施設への入居時など、さまざまなライフイベントで必要となるのが身元保証人です。その中でもご高齢者にとって特に重要なのは、入院・入居時の身元保証人ではないでしょうか。
近年では少子高齢化や核家族化が進行しており、身寄りのないご高齢者も珍しくありません。また、ご親族がいたとしても頼れない事情がある方、迷惑をかけたくないとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
身元保証人を確保できないご高齢者は今後も増えていくと予想されており、社会問題になっています。
身元保証人の役割
施設や病院によって身元保証人に求められる役割は少しずつ異なる場合もありますが、身元保証人が対応すべき主な役割は以下のようなものが挙げられます。
- 施設や病院からの連絡対応
- 入居者のお金の管理、小口の補充
- 医療への同意や緊急時の駆けつけ対応
- ご本人が施設費用を滞納した場合の支払い保証
- ご本人が死亡した際の身柄引き受け など
ご高齢者にとっての身元保証人といえば、一般的に「施設入居時や入院時の身元保証」をイメージされるかもしれませんが、実際に身元保証人が担う役目はそれだけではありません。
医師とのやり取りや医療方針への同意、施設入居中にケアプランや処方薬に変更があった時の確認など、緊急時だけでなく日常的なサポートに至るまで、きめ細やかな対応が求められます。
このように、身元保証人はご本人の本当の家族のように寄り添い支援する存在ですので、おひとり身のご高齢者にとって必要不可欠なのです。
身元引受人・連帯保証人と身元保証人の違い
身元保証人と似たようなものとして、身元引受人や連帯保証人があります。施設や病院によっては、これらを同じような意味合いで使われることも多く、境界があいまいになっていることもありますが、それぞれどのような役割があるのでしょうか。
- 身元引受人
身元引受人は、ご本人が死亡した際に身柄を引き取る人を指します。医師と共に死亡確認を行い、死亡診断書を受領したあとは、施設や病院の退去手続きを済ませ、遺品を引き取ります。
- 連帯保証人
連帯保証人は、費用についての責任をもつ人であり、ご本人に入院費や入居費を支払えなくなった時には、ご本人に代わって費用を支払わなければなりません。連帯保証人には、損害をすべて賠償する責任があると民法で定められています。
身元保証人はさまざまな場面でご本人をトータルサポートするのに対し、身元引受人や連帯保証人は必要とされる場面が限定的といえます。
おひとり身のご高齢者に身元保証人が必要なケースとは?
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おひとり身のご高齢者にとって、身元保証人が必要となる具体的な場面について確認しておきましょう。
身元保証人は以下のような場面で対応が求められるため、身元保証人を確保できないと、ご本人が困るだけでなく、施設職員など周りの方にも大きな負担がかかると想定されます。
入院・手術が必要な時
入院や手術が必要となった時、頼れるご家族のいないご高齢者にとって身元保証人の存在は欠かせません。入院時に求められる身元保証人の役目は、緊急連絡先としての対応や、費用の連帯保証、逝去時の身元引き受けです。
入院中に容態が急変した場合には、緊急連絡先である身元保証人に連絡が入り、状況に応じて駆けつけ対応が必要になることもあります。
手術が必要な際や、ご本人と意思疎通ができなくなった際には、身元保証人が治療方針へ同意することになります。
また、ご本人に入院費の支払いができなくなった時は、身元保証人がその費用を支払う責任を負います。万が一お亡くなりになった際には、身元保証人がご遺体を引き受け、退院手続きや私物の引き取りをします。
高齢者施設へ入居したい時
身寄りのない方が高齢者施設へ入居する際は、本当のご家族のような手厚いサポートが身元保証人に求められます。
例えば、ほとんどの高齢者施設では多額の現金や高価な貴重品の持ち込みを制限してるため、身元保証人が財産管理や小口現金の引き出しなどを行うことになります。
ほかにも、急遽入院が必要になったときや、施設内での事故、ほかの施設入居者とトラブルが発生したときなどに、緊急連絡先である身元保証人へ連絡が入ります。定期的な見守りやケアプランの確認など、日常的な支援も身元保証人の役目です。
また、入院時と同様に身元保証人には費用の連帯責任もありますし、看取りまで対応する施設であれば、身元引受人としてご遺体の引き取りなどの対応も求められます。
もしも身元保証人がいないと、入居者に何かあった時、施設側に大きな負担がかかります。実際に、全国有料老人ホーム協会による調査では、老人ホーム全体の80%以上が「入居時に第三者の身元保証人を立てる必要がある」と回答しています。
ご本人がお亡くなりになった時
くり返しとなりますが、入院・入居中の方がお亡くなりになった際は、身元保証人が死亡診断に立ち会い、ご遺体を引き取り、葬儀や供養を手配します。
ほかにも、退院・退去の手続きおよび費用の清算、お部屋の片付け、私物の引き取り、各種行政手続き、関係者への訃報連絡など、多くの手続きを行わなければなりません。
万が一入院・入居中の方よりも先に身元保証人がお亡くなりになると、ご遺体を引き取る人がいなくなってしまいます。このような事態を避けるために、ご高齢者同士で互いに身元保証人になることを断る施設や病院もあるので、注意が必要です。
身元保証人がいない時の対処法
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厚生労働省からは、「身元保証人が確保できない人も受け入れること」と通達が出ています。しかしながら、身元保証人がいなければ実務的に問題が生じる場面も多いため、多くの病院や施設で身元保証人の確保が必須となっています。
身近な方に身元保証人を頼むことができないときの対処法として、以下の3つをご紹介します。
- 身元保証人を代行してくれるサービスを利用する
- 身元保証人が求められない病院や介護施設を利用する
- 高齢者家賃債務保証制度を活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
身元保証人を代行してくれるサービスを利用する
近年、ご高齢者に向けた身元保証や生活支援、死後事務等のサービスを提供する事業(身元保証等高齢者サポート事業)を展開する団体も増えてきています。
これまでお伝えしたように、身元保証人には数多くの役割と責任があります。
身近な方に身元保証人を頼もうとしても、個人で身元保証人になるのは責任の重さから断られることもありますし、もし引き受けてくれたとしても、いざ身元保証人になってみるとやっぱり手に負えないと辞退されてしまう恐れもあります。
頼む方としても、身近な方に簡単に頼めるものではないと考える方も少なくありません。個人に身元保証人を頼むのは、頼む側も頼まれる側にも負担が大きいものです。
身元保証会社であれば、契約をもとに最期まで責任をもって身元保証業務を請け負ってくれるでしょう。
身元保証人の手配でお困りのご高齢者にとって、身元保証会社は大きな助けとなりますが、各事業者が提供する身元保証サービスの内容や範囲、料金はそれぞれ異なりますのでご注意ください。
消費者庁では、健全で適切な身元保証会社を選定する指標となる高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを公表しています。身元保証人を依頼する際は、このガイドラインを順守した身元保証会社を選ぶようにしましょう。
身元保証人が求められない介護施設を利用する
先ほどもお伝えしたように、全国有料老人ホーム協会による調査では、老人ホーム全体の80%以上が「入居時に第三者の身元保証人を立てる必要がある」と回答しています。身元保証人がいなくても入居できる施設は非常に数が少ないの現状です。
身元保証人が不要な施設を見つけたとしても、数少ない枠に多くの方が申し込むため、運よく入れるとは限りません。
また、「施設入居の際に身元保証人は不要」とうたっていながら、実際は施設が連携する身元保証会社との契約が必須条件となっているケースもあります。
このような場合、ご自身で身元保証会社を選ぶことができず、希望に沿うサービスが受けられなくなる恐れもあります。慎重に見極めるようにしましょう。
高齢者家賃債務保証制度を活用する
賃貸契約を結ぶ際は保証人が必須ですが、ご高齢者など保証人の確保が難しい方向けに、家賃債務保証業者が連帯保証人の役目を担ってくれる制度があります。
これを高齢者家賃債務保証制度といいますが、制度の利用対象となる世帯には制限があります。
【高齢者家賃債務保証制度 利用対象世帯】
- 高齢者世帯
- 障害者世帯
- 子育て世帯
- 外国人世帯
- 解雇等による住居退去者世帯
- 登録住宅入居者世帯
上記の世帯にはそれぞれ細かな要件が設定されているため、利用可能な人は限られています。また、保証料の支払いが必要なほか、保証される金額や範囲にも限りがあるので、事前によく確認しておきましょう。
身元保証人を代行する団体へ依頼する際の注意点
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身元保証会社は、身元保証人の確保が難しいご高齢者にとって大きな支えとなりますが、第三者に身元保証人を頼むことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ご高齢者が安心の身元保証サービスを受けるために、身元保証会社を選ぶ際のポイントをご紹介いたします。
寄付を求めてきていないか
身元保証会社の中には、契約内容が「ご本人の死後、遺された財産を身元保証会社に寄付する」となっているケースもあります。このように財産の寄付を求める身元保証会社には注意が必要です。
寄付を前提としている場合、死後に寄付される金額を少しでも残しておこうという考えから、本来身元保証に必要な費用を身元保証会社が出し渋るかもしれません。結果として、十分な身元保証サービスを受けることができず、ご本人が不利益を被る恐れがあります。
寄付を前提とした契約を迫る身元保証会社は避けた方がよいでしょう。
信託口座での財産管理を行っているか
身元保証会社は、生前の財産管理のため、また、お亡くなりになった後の事務手続きに要する費用確保のため、ご契約時にまとまった金額をお預かりすることがあります。
残念なことではありますが、過去には、身元保証会社がご本人から預かっている財産を勝手に使い込んでしまった事件がありました。ご本人と身元保証会社の二者間だけでの財産管理では、財産の横領などトラブルが発生するリスクがあります。
第三者が管理運用する信託口座を用いれば、監視機能が働きますので、勝手に財産を使い込まれる心配がありません。身元保証会社を選ぶ際は、第三者を介した信託口座にて財産を預かる、安心の財産管理システムが導入されているかどうかをチェックしましょう。
死後事務の対応範囲が明確になっているか
ご本人がお亡くなりになった後は、葬儀・供養の手配やお部屋の片付け、各種行政手続き、ライフラインの解約など、数多くの事務手続きを行う必要があります。これらを死後事務といいますが、死後事務にも対応してもらえるかという点も、身元保証会社を選ぶ際の大切なポイントです。
ご本人が希望する内容まで十分にサポートしてもらえるかどうか、身元保証会社の対応範囲もしっかりと確認しておきましょう。
第三者による監督が行われているか
ご本人が認知症になった際、「判断能力が低下したから気づかないだろう」という考えから、身元保証会社が十分な身元保証サービスを履行しなくなってしまっては大問題です。
また、死後事務についてはご本人の死後に行われるため、正しく履行されているかどうか、ご本人では確認する術がありません。
身元保証サービスを適切に受けるためにも、身元保証業務が正しく履行されているかどうか、第三者による監督が行われていると安心です。
公正証書にて契約書を作成しているか
契約内容を責任をもって履行してもらうために、契約書を公正証書にて作成することも大切です。
公正証書とは公証人が作成に携わる公文書で、契約締結後は容易に契約内容を変更することができません。
安心安全の身元保証サポートを受けるためにも、契約書を公正証書にて作成することが望ましいでしょう。
ご高齢者の身元保証人は大きな責任を負うことから、安心して身元保証人を頼める団体に依頼しましょう
ご高齢者が安心の余生を過ごすためにも、信頼のおける人に身元保証人を頼むことは非常に重要です。何かあった時に焦ることのないよう、お元気なうちに身元保証人について考えておきましょう。
安易に身元保証人を選んでしまうと、後々トラブルに発展する恐れもあるため注意が必要です。
身元保証人を頼める人がいなくてお困りの方、身近な方から身元保証人を頼まれたが引き受けたくない方は、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを順守した、信頼のおける身元保証会社に依頼することをおすすめいたします。
身元保証相談士協会では、身元保証人についてお困りのご高齢者向けに初回無料の相談の場をご用意しております。身元保証のプロが親身に対応いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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