高齢者の免許返納の手続き方法!返納するメリット・注意点とは
公開日: 2021年06月02日
更新日: 2022年04月09日
- くらし全般
高齢者による交通事故が問題となり、自ら運転免許を返納しようか迷うという話をよく聞きます。 最近では、どのくらいの人が免許を返納しているのでしょうか。 免許の返納にはどのようなメリット、デメリットがあるのかという点も気になるところです。 また、返納をするためにどのような手続きが必要なのか、代理人でも可能なのかという点も解説します。
高齢者の免許返納とは
自動車の運転免許を持っている人は、自主的に免許を取り消すことができ、これを免許の返納と呼びます。 最近では、この免許返納をする高齢者が増えているのです。 近年、社会の高齢化に伴い、高齢者が起こす車の事故が目立つようになりました。 そのため、認知機能や運動機能が衰えた高齢者の運転が問題とされるようになったのです。
例えば、年を取ると、どうしてもとっさの反応が遅れてしまうようになります。 慌ててブレーキとアクセルを踏み間違えるようなことも、起こりやすくなるのです。 この問題への対応として、高齢者の免許更新には一定の条件が設けられ、検査や講習を受けないと運転が続けられないようになりました。
また、家族の勧めや運転の自信がなくなったことをきっかけに、自ら免許を返納しようという高齢者も出てきたのです。 しかし、せっかく持っている免許を返納することには抵抗を感じる高齢者もいます。 身分証明書としても使える運転免許証を返納するのは、不便という声も。 ただし、運転免許を自主返納した人は、免許証の代わりとして「運転経歴証明書」の交付申請を行うことができるため、身分証明についての心配は必要ないでしょう。
70歳以降の高齢者の免許制度
免許の有効期間
運転免許の有効期間は、基本的に3年と5年の二つのケースに分かれます。 しかし、免許更新期限の時、満71歳を過ぎていたら、この有効期間が変わるので注意が必要です。 運転免許を取った後、2回目の更新までは有効期限が3年ですが、その後は有効期限が5年となります。 交通違反をした場合は、有効期限が3年になってしまうこともありますが、軽微な違反(3点以下)が1回なら期限は5年で変わりありません。 ところが、免許更新期限直前の誕生日が71歳だと、無事故無違反でも有効期限が4年になってしまいます。 つまり、いわゆるゴールド免許の人でも期限が短くなってしまうのです。 さらに、72歳以上になると一律に有効期限が3年になるので注意が必要ですね。
免許の更新手続き
免許の更新期間が終わる前に満70歳以上になる人は、講習を受けないと免許の更新ができません。 70歳を過ぎた後、免許の更新が近づくと「講習通知書」が郵便で届くのです。 この通知書には、免許証の更新前に「高齢者講習」に参加するように記載されています。 講習の場所は、地域によって異なりますが運転免許試験場や自動車学校などです。
この講習では、運転の適性検査や実際に車を運転する講習などが行われます。 無事に受講が終わると「高齢者講習終了証明書」が発行されますが、これがないと免許の更新ができません。 更に75歳を過ぎると、認知症検査を受けることも必要となります。 その結果、「記憶力・判断力に問題がない」か、「少し低い程度」と判定された人はそれぞれ講習が行われて免許を更新できますが、ここで問題ありとされると免許取り消しになってしまうこともあるのです。
免許を返納する高齢者数の推移
警視庁の運転免許統計をみると、免許を返納する高齢者の数が非常に多いことがわかります。 また、返納数は増加傾向にあり、特に運転経歴証明書の発行が始まった2012年以降は急激に増加しているのです。 例えば、2012年には11.8万件だった返納件数が、2019年には60万件を超えており、そのほとんどを65歳以上の高齢者が占めています。 特に、75歳以上では6.2%の人が、85歳以上では14.4%の人が免許を返納しているのです(2019年)。
なお、2015年に警視庁の委託事業として行われた「運転免許証の自主返納に関するアンケート」では、75歳以上で自主返納をした人にその理由を聞いています。 理由として最も多いのは「家族等に勧められた時」(33.0%)、次に多いのが「運転する必要がなくなったように感じた時」(29.4%)、3番目が「運転に自信がなくなったように感じた時」(19.2%)でした。
高齢者の免許返納手続きの方法
自主返納
運転免許を自主返納するときは、運転免許センターや管轄の警察署で手続きを行います。 免許の更新をするときに行く場所と同じです。 自主返納の時は、運転免許証を持っていく必要があります。 また、同時に運転経歴証明書を発行してもらうのであれば、証明写真と手数料1100円が必要です。 この写真は、通常の免許用の写真と同じサイズで上半身・無帽といった決まりも変わりません。 免許センターなどではその場で写真が撮れる場合もありますよ。 免許の返納自体には、基本的に費用は掛かりません。 しかし、例えば自動車は運転しないけれど原付は運転したいという場合は、「一部返納」という形になり、通常の免許更新と同じような費用がかかります。
代理人による返納
本人が健康上の理由などで窓口に行けない時は、代理人による返納もできますが、必要な書類が増えます。 管轄の都道府県によって必要な書類が少し異なるのですが、まずは運転免許センターや警察署で事情を説明し、委任状・確認書・代理人誓約書といった書類をもらってきましょう。 これらの書類は、警察署のホームページからダウンロードできる場合もあります。 委任状・確認書は、代理人に申請を委任したことを記載し、また本当に自分の意思で返納するのだという意思を確認する内容のものです。 委任状・確認書には、免許を返納する本人の署名押印が必要となります。 代理人誓約書には、本人に代わって申請を行う人の署名押印をしておきましょう。 書類が書けたら、本人の運転免許証と、代理人の身分を証明する書類(免許証など)を持参して申請に行きます。 同時に運転経歴証明書を申し込む場合は、本人の写真と手数料も持っていきましょう。
高齢者の免許返納のメリット・デメリット
メリット
免許を返納し、自動車の運転を辞める一番のメリットは事故を防げることです。 事故を起こし他人に迷惑をかけたり、自分自身の生活を脅かされたりする危険を避けることができるでしょう。 高齢になると、誰でも運動機能や認知機能が衰えて、事故を起こしやすくなります。 2019年に高齢運転者が起こした交通事故は全国で5524件、交通事故全体の18%にのぼるのです。 免許返納のメリットとしては、自治体や企業で用意している様々な特典を受けられる、という点も挙げられます。 例えば、自治体によっては、バスやタクシーの割引等の特典があるのです。 その他、運転経歴証明書があると金利を上乗せしてくれる銀行や、買ったものを無料で配送してくれる店舗などもありますよ。
デメリット
免許返納には、いくつかのデメリットもあります。 一番の問題は、移動手段が減るということ。 自分で運転して買い物や遊びに出かけていた人にとって、バスや電車などを使うのは煩わしく感じるかもしれません。 いつでも気軽に出かけられなくなってつまらないと感じる人や、交通の不便な地域では生活に困る人もいるでしょう。 また、自分で運転するということに誇りを持っている人もいます。 その場合、運転できないと寂しく感じてしまうかもしれませんね。
高齢者の免許返納時の注意点
運転経歴証明書について
運転経歴証明書をもらうためには、期限があります。 免許を返納してから、5年以内でないともらえません。 とりあえず返納だけした、という人は、早めに申請することが必要です。 これから返納するという人は、同時に申請しておくとよいでしょう。 この申請には、免許証と同じような写真や手数料が必要なので、申し込まないままになっている人もいるかもしれません。 しかし、特典が受けられる可能性を考えると、申し込まないのは損です。 身分証明書としても確実に使えるものなので、ぜひ取得しておきたいものですね。
免許の再取得
一度免許を自主的に返納した後、やっぱり車の運転をしたいと思っても、免許は戻ってきません。 免許を返納した後は、もう一度取り直さないと運転はできないのです。 しかし、高齢になってからもう一度免許を取り直すのは大変なことでしょう。 今まで運転していたからといって、スムーズに試験に通るとは限りません。 一旦免許を返納したら、簡単に取り戻せないということを知っておきましょう。
老後の心配事を少しでも減らしていこう
高齢になってからの免許返納について考えるなど、老後の心配事は早めに解決しておくのが大切です。 特に、現在ご家族など頼れる方がいない「おひとりさま」が、老後の心配事の一つとして挙げるのが、身元保証をしてくれる人がいないことです。 高齢者入居施設や入院の手続き、死後ご自身の希望通りに供養を行うことなどは、身元保証人がいないとできないものです。 そこで、身元保証を行ってくれる団体に相談する方法をご紹介します。 例えば「身元保証相談士協会」は、生前から死後に至るまでの様々なサポートを行ってくれます。 老後や死後について少しでも不安を解消しておきたい方は、ぜひ専門家に相談するのもよいでしょう。 全国93拠点の会員が
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