介護で同居する選択肢を取ると?メリットやデメリットをご紹介!

公開日: 2022年07月20日

更新日: 2022年07月20日

  • 介護・高齢者施設

離れて住む親が高齢になり介護が必要になった時、同居するのか別居のまま介護をするのか迷うかもしれません。
ここでは、同居介護に、どのようなメリットとデメリットがあるのか解説します。

また同居介護をする際に、注意をすべきポイントについてもみていきましょう。
同居以外にはどのような方法があるかということについても、説明します。

介護で同居をするという選択肢

厚生労働省が実施した平成28年の国民生活基礎調査では、介護を受ける人と介護する人がどのような間柄であるかを調べています。
それによると、同居家族に介護されている人の割合は58.7%にのぼり、介護サービス事業者に面倒を見てもらっている人は13.0%、別居の家族は12.2%とのことです。

なお、この統計では、介護者の年齢も調査しており、男女ともに介護者の約70%が60歳以上であることがわかります。
つまり、老老介護となっているケースが多いといえるでしょう。

その中には、高齢の妻や夫が介護をしているケースが少なくありません。
しかし、親が80歳を超える高齢になると、子供も60歳以上になる可能性があります。

社会の高齢化が進む中、高齢になった子が更に高齢の親と同居しながら面倒を見るというケースも多いのです。

介護で同居をする場合のメリット・デメリット

同居介護

同居介護とは、一般的に親子が同じ家に住んで介護をすることを指しています。
もともと親子が一緒に住んでいる場合もありますが、就職や結婚で一旦実家を離れた人が介護を機に同居するケースもあるのです。

その中には、親を子供の自宅に呼び寄せて暮らすパターンと、子どもが親の住居に住み替えるパターンがあります。

メリット

同居介護のメリットは、夜間も含めて見守りがしやすく、小まめに面倒を見られるということが挙げられます。
具合が悪くなった時などにも、すぐに対応できるので安心でしょう。

また、費用負担が軽くてすむという点もメリットの一つです。
介護サービス事業者に払う費用が不要、または少なくて済むでしょう。

別居して親元に通いながら介護をする人もいますが、この場合交通費などがかかります。
同居していれば、別居よりも光熱費・住居費などが節約できるという点でも、経済的と言えるでしょう。

デメリット

同居して介護をしていると疲れやすいのというのが、デメリットといえるでしょう。
常に一緒にいて世話をしなくてはならないので、心身共に休む間がないという人もいます。

特に夜間もトイレの介助などが続くと疲れ切ってしまい、仕事を辞めてしまう人もいるのです。
認知症の親に「お金を取られた」などの妄想が出て、振り回されることもあります。

身内ならではの気安さが災いして、わがままが出てしまい親子関係がこじれてしまう例も。
また、子供の配偶者と介護を受ける高齢者の間で、嫁姑の問題が発生することもあります。

介護で同居を選択するときのポイント

本人の意思や身体状況を確認する

同居を決める前には、介護を受ける側の意思や状況をしっかり確認することが重要です。
十分な確認をしないまま同居を進めると、介護がうまく進まない可能性があります。

まずは、介護を受ける本人が本当に同居をしたいと思っているのか確認しましょう。
人によっては、家族と言えども同居によって自分のペースを崩されるのが嫌という場合もあります。

また、親が子供のもとに行って同居する場合、住み慣れた家や地域を離れることに抵抗を感じる人もいるのです。
慣れない環境で暮らすことはストレスになる可能性もあり、しっかり意思確認をすることが必要でしょう。

なお、本人が同居を希望していても、心身の状態が悪く子供の手に余るような場合は、同居よりも施設入所を選ぶ方が望ましい場合もあります。

段階を踏んで準備を進める

長年、離れて暮らしていた親子が急に同居するとなると、生活の仕方が合わずにトラブルになることがあります。
場合によっては、近いところで暮らすことから始めて、少しずつお互いのペースを慣らしていくことも必要でしょう。

いくら親子と言っても、成人した子供の生活スタイルと高齢の親の生活スタイルでは、大きく違っている可能性があります。
起きる時間や寝る時間の違い、食事の好みなどが違うだけでも、一緒に暮らすのが辛くなることがあるのです。

この問題を避けるため、まずは子供(または親)の住んでいる家の近くに、賃貸マンションを借りる等の方法が考えられます。
近くに住んで行き来をする段階を踏み、お互いの生活リズムや暮らし方を知っておくと、同居の準備がスムーズに進むかもしれません。

相談できる先をつくる

同居して介護をしていく中では、介護の仕方に悩んだり心身の疲れが溜まってしまうこともあります。
これを放置しておくと、同居での介護を続けられなくなってしまう可能性もあるのです。

できれば、事前に近くにある相談先を探しておくようにするとよいでしょう。
例えば、本人のかかりつけ医やケアマネジャーに挨拶をしておき、相談しやすいようにしておきます。

また、地域包括支援センターなど、お住いの自治体にある相談窓口を知っておくことも大切です。
介護のプロに話を聞いてもらうことで、気持ちの整理がつくだけでなく、具体的な解決策が見つかるかもしれません。

介護をする中では、悩みを家族だけで抱え込まないようにすることが大切です。

介護で同居をする以外の選択肢

近居介護

親の介護をするためには、同居以外に「近居介護」という方法もあります。
近居介護とは、比較的近い場所(電車や車でも1時間以内)に住んで介護をすることです。

子供が親の近くに引っ越すか、親が子供の近くに住むことで、通って介護することができるようになります。
親が、子供の住まいに近いサービス付き高齢者向け住宅や、有料老人ホームに入居する例が多いようです。

同じマンションの別の部屋に住むというパターンもありますよ。

メリット

近居介護では、お互いの生活スタイルを崩さなくて済みます
起床・就寝のリズムを変えたり、食事の内容を合わせたりする必要がありません。

近くに住んでいるという安心感があり、小まめに会いに行けるのもメリットといえるでしょう。
病院への付き添いや体調を崩した時の看病なども、近くに住んでいる方が楽です。

また、介護サービスの中には、1人暮らしでないと受けられないものもあるので、それが可能になるのも利点と言えるでしょう。
更に、1人暮らしのほうが特別養護老人ホームに入居しやすく有利という点も挙げられます。

デメリット

親が子供の近くに来る場合も子供が親の近くに来る場合も、引っ越しが必要となり、それがストレスになる可能性があります。
それまで住んでいた場所での人間関係を失い、寂しくなることが考えられるのです。

特に高齢者の場合、新しい環境に慣れて交友関係を作り直すのは大変なこと。
外出や人と話をする機会が減って、心身の不調につながる人もいるので注意が必要です。

遠距離介護

遠距離介護とは、遠方に住んでいる親のサポートをする介護の形です。
週末などに故郷に帰り、親が自立した生活が送れるように手助けをします。

普段は、介護サービスなどを利用し、通院や家事などのサポートのために時々帰省するというパターンです。
当然のことながら、遠距離で介護ができるのは、親がある程度自立して生活できているケースが多いといえます。

メリット

遠距離介護の場合も、同居介護よりストレスは少ない可能性があります。
親も子も、引っ越しの大変さを味わわなくて済み、住み慣れた環境で生活ができるでしょう。

何より、近所の友人や親戚との人間関係が疎遠にならずに済みます。
また訪問した時以外は、お互いの生活スタイルを変える必要がなく、その時だけ介護を頑張ればよいのです。

遠距離介護の場合も、1人暮らしの人にしか使えない介護サービスが使え、特養への入居がしやすくなります。

デメリット

遠距離介護の場合は、交通費がかかるという問題があります。
電車や飛行機のチケット代、ガソリン代などの負担が大きくなるでしょう。

また、親元に通うために時間を取られて、仕事や家事が思うようにできなくなる人も。
週末の介護で、疲れてしまうという例もあるでしょう。

更に、親の身体がだんだんと衰えていく中、突然の体調不良にどう対処するかという点も問題となります。
具合が悪くてもすぐに駆け付けることができない、急に倒れたとしても気付けないという不安を抱えていなくてはなりません。

同居での介護をする時は慎重に話を進めよう

同居介護には様々なメリットもありますが、これまで離れて暮らしていた家族が一緒に暮らすのは問題がないわけではありません。
お互いの生活・環境・価値観の違いが、大きなトラブルに繋がる可能性もあるのです。

同居での介護をしたいと思ったら、本人と家族の意思をしっかり確認し慎重に準備を進めることが大切といえるでしょう。
それが、本人にとっても一番良い介護の形を作ることに繋がるはずです。

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