介護と仕事の両立のために!実態や支援制度・サービスを知ろう!
公開日: 2022年07月29日
更新日: 2022年07月29日
- 介護・高齢者施設
社会の高齢化に伴い、親の介護をする人が増えています。
親の介護をする人にとって、仕事と介護の両立は大きな問題です。
どうすれば、仕事と介護を両立できるのでしょうか。
まずは、「両立を図るためにやるべきこと」は何か考えていきましょう。
また、働きつつ介護をする人のための制度や利用できるサービスについてもご紹介します。
介護と仕事の両立の実態
近年、日本では高齢者の数や社会全体に高齢者が占める割合が増加しています。
そのため介護を必要とする人も増え、それを支える家族の負担も問題となってきました。
特に、介護が必要となることが多くなる70代以上の人の場合、その子供は50代と働き盛り。
職場では頼りにされている世代であり、管理職になっているケースも多く、親の介護と仕事をどう両立させるかというのは大きな問題です。
親の介護が大変なために、仕事を辞めてしまう「介護離職」という言葉も聞かれるようになりました。
しかし、介護のために仕事が思うようにできない、あるいは離職するというのは、本人にとっても職場にとっても大きな損失となるでしょう。
このような問題を解決するため、介護休業制度など働く介護者を支援する様々な施策があります。
厚生労働省も、これらの施策について周知を図るため、企業や労働者に向けて様々な広報活動をしているのです。
例えば、企業・労働者・ケアマネジャー等に向けてガイドブック・解説動画や事例集の作成などが行われています。
介護と仕事の両立は、家族の問題というだけでなく、社会全体の問題として捉えられるようになってきたといえるでしょう。
介護と仕事を両立させるために
家族で話し合いをする
介護が始まった時には、誰か1人に大きな負担がかからないようにすることが大切です。
1人で介護を抱え込んでしまうと、その人が仕事を辞めてしまうことになりかねません。
できれば、家族で話し合いを行い、役割分担を決めましょう。
離れて住んでいる家族にも、休日だけ手伝ってもらうなどの工夫が必要です。
特に急な対応が必要になった時、仕事を抜け出すのが難しいという場合もあります。
緊急時だけでも動いてくれる人がいれば、安心して仕事が続けられるでしょう。
介護サービスを利用する
できるだけ介護サービスを利用し、家族以外の人の手を借りることも必要です。
介護には多くの時間と体力を要するので、仕事や休息の時間をしっかり確保するには、家族だけでは難しいこともあります。
自宅に通って身体介護をしてくれるヘルパーや、デイケアへの通所、施設への短期入所などのサービスを利用すれば、安心して仕事が続けられますね。
これらのサービスは、介護保険を使えば少ない自己負担で利用できるのです。
家族だけで介護を抱え込まず、これらのサービスを十分に活用して乗り切りましょう。
介護の基礎知識を身につける
介護をスムーズに進めるためには、介護についてある程度の知識が必要といえます。
介護の方法や高齢者の健康について知識を得ておくと適切な介護に繋がり、介護者にとっても心身の負担が軽くなるからです。
例えば、身体介護の際、楽に移動させられる介助の方法を知っておくと、足腰に負担が少なくて済みます。
認知症の人についても、そのメカニズムやトラブルのパターンなどを理解しておくと、コミュニケーションがうまくできるようになるでしょう。
介護の仕方や認知症については、本や市民向け講座などを活用して学んでおきたいものです。
相談先を作る
介護を進めていく中では、高齢者の心身の状態が変化し、様々な悩みやストレスが生じることがあります。
それを1人で抱えていると、精神的に追い詰められて介護離職となってしまうかもしれません。
困った時に備えて、相談できる場所を探しておきましょう。
特に、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談すれば、その問題の解決に向けたケアプランの見直しなどをしてもらうことも可能です。
介護のプロなら、介護をめぐる様々なトラブルについて知識も経験もあります。
相談することで気持ちが楽になるだけでなく、具体的な解決策が見つかることもあるのです。
介護と仕事を両立させる支援制度
介護休業制度
勤めている人が介護のために、仕事を休業できることを定めた国の制度です。
介護を受ける家族1人につき3回まで、通算で93日まで休業できます。
継続して介護をするには、93日では短いと思われるかもしれませんが、介護休業は介護の準備をするために使う期間と考えるとよいでしょう。
これを利用して、介護保険の申請や介護サービスの契約などを進めるのです。
労働者を雇用している企業は、申し出があれば介護休業を認めなくてはならないということになっています。
ただし、2週間前までに書面等で申し出をしなくてはならないなど一定の制限があるので、会社側と時期を調整しながら進めましょう。
介護休暇制度
介護のために仕事を休める制度で、会社で決められた有給休暇とは別に取得できるものです。
ただし、有給か無給かは会社によって異なります。
休暇が取れるのは、介護の対象となる家族が1人の時は、年5日まで、2人以上なら年10日まで。
書面提出や2週間前といった規定がないので、急に休む必要が出てきたときに利用するとよいでしょう。
通院や役所の手続きなど、一日だけ休みたいという時にも活用できます。
介護休業と組み合わせて、上手に使うことが大切です。
介護休業給付金
介護休業をした時は、雇用保険から介護休業給付金をもらえる可能性があります。
介護休業中は基本的に無給となるのですが、給与の67%が支給されるのです。
この給付金をもらうには、介護休業制度を利用していることと雇用保険に加入していることなど一定の条件が必要となります。
また、介護休業後に退職する予定の場合など、給付金がもらえないケースもあるので確認が必要です。
介護のための短時間勤務
介護のために、勤務時間を短くできる制度です。
会社によって設定の仕方が異なりますが、一日の勤務時間を短くする方法、週単位・月単位で時短をする方法、フレックスタイムや時差出勤を利用する方法もあります。
お勤めの会社でどのような設定となっているか、確認してみましょう。
対象となる家族1人あたり連続して3年以上の期間、2回以上利用することができますよ。
介護との両立のために仕事を見直す
会社に相談をする
介護と仕事の両立が難しくなってきた場合は、無理をせず早めに勤務先に相談をし、勤務体制の見直しができないか検討しましょう。
それによって、介護の時間を確保し緊急の時にも対応が出来るようになるかもしれません。
仕事の内容にもよりますが、短時間勤務や勤務時間帯の見直し、配置転換などで乗り切れる可能性があります。
介護と仕事の両方を担うのが辛いからと、安易に仕事を辞めてしまうのではなく、まずは会社側に状況を伝え相談をしてみることです。
また、場合によっては、現在の職場で正社員から契約社員やパートタイムに変更してもらうという方法もあります。
収入が減ってしまうかもしれませんが、勤務時間を短くできるので、経済的に無理でなければ検討の価値があるでしょう。
職場や働き方を変える
現在勤めている会社では、どうしても介護を続けられそうにないという場合は、時間にゆとりを持てる仕事に代わるという方法もあります。
例えば、残業の多い会社から定時に帰れる会社に転職すれば、日中だけ介護サービスを利用して乗り切れるかもしれません。
また、パートタイムや派遣社員で、自分の都合に合わせてシフトを決められる職場を探す方法もあります。
ただし、介護休業や介護休暇は一定の雇用期間を満たさないと取得できないという制限があるので、その点も考慮しましょう。
その他、フリーランスであれば、介護の必要性に合わせて自分の仕事を調整できる可能性があります。
個人のスキルにもよりますが、最近では様々なフリーランスの仕事があるので、自分に合ったものがあればトライしてみるのも一つの方法でしょう。
介護のために無職になってしまうと精神的にも経済的にも辛くなるかもしれないので、何らかの形で働き続けられるとよいですね。
介護と仕事の両立を図るために制度やサービスを上手に利用しよう
親の介護が始まると、仕事との両立は大変と感じるかもしれません。
かといって、仕事を辞めて介護に専念すれば経済的な問題等も起こります。
1人で介護を抱え込み、安易に仕事を辞めてしまうのは避けたいもの。
まずは家族や会社にも相談し、介護サービスの利用も考えましょう。
今は介護休暇などの制度も設けられ、働く人が介護と仕事を両立するための環境が整い始めています。
これらを上手に利用し、仕事との両立を図りましょう。