介護における認定調査とは?注意点や流れについて理解しよう!
公開日: 2022年09月26日
更新日: 2022年10月24日
- 介護・高齢者施設
介護保険を使ってサービスを受けようと思った時、必要となるのが介護認定です。
この時、行われる認定調査とはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、認定調査を受けるための方法や準備について解説します。
また、実際の調査における質問事項や注意点についても見ていきましょう。 更にその後、介護サービスを受けるまでの流れも説明します。
介護の認定調査とは?
介護保険を使って介護サービスを利用する前には、必ず介護認定調査が行われます。
その人の心身の状況を調査して、どのくらい介護が必要であるか調べるものです。
介護認定調査の結果なんらかの支援や介護が必要であると判断されると、介護度というものが判定されます。
介護度は、軽いほうから要支援1~2,要介護1~5の7段階です。
この介護度によって、介護保険を使ったサービスのうち、何をどのくらい使えるかが決まります。
ちなみに、特に支援が必要ないとされた場合は「自立」という判定となり、介護保険は使えません。
介護認定調査で最初に行われるのは、自治体の調査員による訪問調査です。
これを元に一次判定が行われます。
一次判定の結果と主治医の意見書などを参考に、最終的な決定をするのが二次判定です。
介護の認定調査の申請
介護認定を受けたいと思ったら、まずは本人が住んでいる自治体の窓口で申請をしましょう。
または、近くにある地域包括支援センターでも申請が可能です。
申請の際は、介護保険証を持っていくことが必要となります。
お持ちの方はマイナンバーカードを持参すると、申請がスムーズに進むでしょう。
マイナンバーカードがない人は、マイナンバーの通知カードや住民票、それに加えて身元を証明する書類を何点か持っていく必要があります。
あらかじめ、市町村に電話するなどして、必要なものを確認してから出向きましょう。
また場合によっては、認知症やケガなどで本人が申請できないことがあるかもしれません。
この場合は、家族やソーシャルワーカーに代理申請をしてもらうことも可能です。
介護の認定調査を受けるための準備
認定調査の質問項目を確認する
認定調査を受ける前には、どのようなことを質問されるのか確認をしておきましょう。
心の準備ができて、落ち着いて対応できるからです。
例えば、身体の状態や動作のスムーズさを尋ねる項目があります。
この部分に関しては、実際に立ち上がって見せるなどの動作をしてもらうこともあるのです。
また、食事や入浴などの日常生活をどの程度、自分で出来るかどうか細かく聞かれます。
視力や聴力を試す項目もありますよ。
自分の名前や年齢、今いる場所を尋ねる項目もありますが、これは認知症の有無を確認するためのものです。
過去の病気やケガの記録をする
認定調査を受ける前には、これまでにかかった病気やケガなどについて記録しておくと役に立ちます。
介護の必要性や心身の状況には、今までの病歴が関係してくることが多いためです。
急に聞かれても、「あれは何年ごろのことで、なんという病名だっただろうか…」等と思い出せないこともあります。
順番にメモをしておくと、スムーズに伝えられるでしょう。
また、特に過去14日以内に受けた医療について詳しく聞かれるのでメモしておくことが必要です。
普段の介護の様子を記録する
家族が介護をしている人の場合は、どのような介護をしているのか記録しておきましょう。
調査の項目の中には、介護している人にしか分からない部分があるからです。
例えば、食事やトイレ、入浴の介助の様子などを細かく確認する必要があります。
また、認知症の人の妄想や徘徊など、困っている状況があれば丁寧に振り返っておくとよいでしょう。
主治医意見書を準備する
主治医意見書については、市町村から依頼をすることになっており、通常は申請者が医師にお願いする必要はありません。
どの医師が主治医かということを、調査員に伝えれば大丈夫です。
ただ、できれば通院の際、主治医に介護認定を受ける予定であることを伝えておくとよいでしょう。
また、特に主治医がいないという場合は、何回か診察をしてもらった医師に依頼することになります。
何かの病気やけがで介護が必要になった場合は、その時受診した病院に意見書を書いてもらうこともできますね。
どの医師に頼むのか困った時には、地域包括支援センターでも相談に乗ってくれます。
なお、主治医意見書の作成費用は市町村が負担するので、申請者は支払う必要がありません。
介護の認定調査で聞かれること
認定調査には、概況調査と基本調査があります。
概況調査で必ず確認されるのは、本人の住所・氏名・電話番号などの他、家族等の連絡先です。
この他、本人の居住環境・家族の状況、使っている医療機器などについて聞き取りがあり、特記事項として記録されます。
加えて、すでに介護認定をされている人の場合、現在利用しているサービスの内容について伝えなくてはなりません。
基本調査では、チェックリストに沿って本人の状況を聞かれることになっています。
その項目には、①身体機能・起居動作、②精神・行動障害、③生活機能 ④認知機能、⑤社会生活への適応の5つがあり、それぞれいくつかの質問が行われるのです。
その他過去14日間に受けた特別な医療があれば、その内容を聞かれることになっています。
介護の認定調査当日の注意点
家族も同席をする
認定調査の際は、本人だけでなく、できれば家族も同席したいものです。
それによって、家族から見た本人の様子を確実に伝えることができるでしょう。
高齢者は、調査で質問されたことについて、実際にはできないことも「できる」と言ってしまう場合があります。
プライドがあるので、「できない」というのは恥ずかしいと思ってしまうこともあるのです。
そうなると、介護認定の結果が実態を反映しないものになってしまう危険があります。
介護認定は、本人の日常をよく知っている家族が同席したほうが、正確なものとなるでしょう。
正確な情報を伝える
受けた質問に対しては、正確に今の状況を伝えるようにしましょう。
問題点について控えめに伝えてしまうと、介護が必要なのに必要でないと判断されてしまう可能性があります。
逆に、大げさな回答をしてしまうと、実情より重い認定となってしまうかもしれません。
介護認定が実情と合わない場合には、再調査が必要になることもあるので注意しましょう。
本当に必要な介護を受けるためには、正直に質問に答える意識を持つことが必要です。
遠慮せずに思いを伝える
調査員の人には、遠慮せずに困っていることや心配事を伝えるようにしましょう。
家族の都合や本人の日常生活での様子をくわしく話しておくと、特記事項として記入してもらえるからです。
調査員から質問される内容は、「はい」「いいえ」で答える部分が多いのですが、その他に具体的に今の状況を伝えておきましょう。
この内容も要介護度を検討する際の参考となるので、伝えたいことを前もって考えておき、十分に話すことが大切です。
介護の認定調査後の流れ
介護サービス利用の流れ
認定調査を受けた後は、介護認定審査会が介護度の判定を出し、本人に通知が届きます。
結果が届くまでの日数は、申請から30日程度です。
その後、この認定をもとにサービスを利用することになれば、ケアプランと呼ばれる介護計画の作成が行われます。
要支援認定を受けた場合
介護度が比較的軽い「要支援」という判定になった場合は、近所にある地域包括支援センターが対応します。
ここに所属するケアマネジャーが、ケアプランを作成してくれるのです。
ケアプランには、介護の目標や受けるサービスの内容が記載されます。
それに従って、介護予防サービスの利用が始まるのです。
要介護認定を受けた場合
要支援よりも介護度の重い「要介護」という判定になった場合は、居宅介護支援事業所というところが対応します。
ここに所属するケアマネジャーにケアプランの作成をしてもらい、自宅や介護施設でのサービス利用が始まるのです。
要介護の認定を受けた場合、市町村から居宅介護支援事業所のリストをもらえます。
その中から事業所を一つ選んで、ケアプランの作成をお願いしましょう。
介護認定の有効期間
初めて介護が必要であると認定された場合、判定の有効期間は基本的に6か月となります。
その後の更新の際は原則として12か月が有効期間であり、これが過ぎると改めて判定を行うことになっているのです。
高齢者の状況は変わりやすく、短期間で介護度が変わる可能性があります。
そのため、定期的に介護度を見直すことになっているのです。
結果に納得いかない場合
認定された介護度が実情に合わず、納得できないと思った場合どうしたらよいのでしょうか。
介護保険審査会に不服申し立てをする
一つの方法として挙げられるのが、介護保険審査会に不服申し立て(審査請求)をすることです。
これは行政処分の取り消しを求める申し立てで、結果の通知を受けた後、60日以内に行わなくてはいけません。
申し立ての結果、判定が不当であるということになれば、改めて認定調査を行う形になります。
この場合、数か月の期間を要することがあり、また必ずしも取り消しが認められるとは限りません。
区分変更申請をする
区分変更申請とは、介護度の見直しをしてほしいという申し出です。
介護認定の更新前に心身の不調が増してしまった時に見直しをお願いする申請ですが、不服申し立ての代わりにこの方法を使う例がみられます。
この方法の場合は、通知を受け取った後60日以内という縛りがなく、結果も1カ月程度で出ることになっています。
介護認定を変えてほしいと思った時には、いつでも申請できます。
介護認定調査を受ける際は気持ちの準備と家族の協力を
認定調査は、介護サービスを受けるための入り口となります。
本人の心身の状況や家族の事情も含めて調査が行われ、介護度が決定されるのです。
この時、訪問での調査が行われますが、初めての時は緊張や気負いがあるかもしれません。
きちんと状況を伝えられるように、内容や流れを確認し気持ちの準備をしておくことが必要ですね。
また、適切な判定を得るために、できれば家族の協力も得ておきたいものです。