介護の送迎サービスをご紹介!介護タクシーの利用方法について
公開日: 2022年05月24日
更新日: 2022年05月24日
- 介護・高齢者施設
介護が必要な人が通院等で外出の際、送迎の手段に困ることがあります。
こんな時、介護タクシーというものがあるのです。
まずは、介護タクシーとは、どんなものか紹介します。
介護保険が使えるものと、使えないものがあるのでその違いについても見ていきましょう。
また、これを使う際の注意点や、利用の方法についても解説します。
介護タクシーとは?
高齢者や障害者等のうち、自分だけで外出するのが大変な人のために移送を行うサービスです。
介護保険が使えるものと、これが使えない介護福祉タクシーというものがあります。
一般に、車いす・寝台をそのまま乗せられる特殊な車両が使われ、身体が不自由な人でも安心して使えるものです。
例えば、これを使えば歩くのが困難な人でも、病院や買い物などに1人で出かけられ旅行に行くことも出来ます。
また、場合によっては、自宅の中まで入って出かける前後の身支度等も手助けしてもらえるのです。
この場合、訪問介護の一種という位置づけになります。
なお、よく「介護タクシー」と呼ばれてはいますが、介護保険の中にこの名前のサービスはありません。
法律で規定されている名称としては、「通院等乗降介助」といいます。
介護保険タクシーと介護福祉タクシーとの違い
介護保険タクシー
利用条件
これを使えるのは、自宅に居住する人、あるいはサービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム等で生活する人で、「要介護1~5」の人に限ります。
つまり、まだ介護認定を受けていない人や、「要支援」の人は使えません。
このような人は、使うとしたら介護福祉タクシーにする必要があります。
利用目的
これを使えるのは、「日常生活の上で必要な行為」または「社会生活の上で必要な行為」な外出に限られます。
通院やリハビリの他、本人の対応なしには絶対に不可能な買い物、例えば眼鏡を作りに行く時などがこれにあたりますね。
また、銀行にお金を引き出しに行く時、選挙の投票や役所での手続きなども、これに含まれます。
ただし、仕事や趣味娯楽のための移動には使えません。
運転手
介護保険タクシーの場合、運転手が、乗り降りの前後に必要な手助けも対応が可能になります。
そのために、「介護職員初任者研修」などの資格を持っているのです。
例えば、必要があれば、車への移動に加えて、着替えやトイレの介助・おむつ替えも出来ますよ。
更に、病院の受付への誘導や、お会計や薬を受け取る時にも付き添いが可能です。
きちんと資格や経験のある人なので、認知症の人や身体が不自由な人への対応にも慣れており、安心して移動を任せられます。
介護福祉タクシー
利用条件
こちらの場合、基本的には要支援・要介護の人が対象となっています。
しかし、これを使うための厳密な基準等が設けられているわけではありません。
つまり、基本的に使いたいと思ったら誰でも使えます。
外出が困難な人が出かけたいけれども内容的に介護保険の適用外という場合、または要支援の人などは、必要に応じて使うとよいでしょう。
ただし、保険がきかないため、全額自己負担となります。
利用目的
こちらの場合、移動そのものが目的なので、どんな場面でも使えます。
仕事のためや趣味のためでも構いません。
例えば、旅行や観劇の際、車いすのまま移動したいと思った時などに便利です。
また、買い物をする際も「本人対応が不可欠」という制限がなく、好きなようにショッピングを楽しめます。
家族と一緒に出掛けることもでき、目的に制限がありません。
その他、病院を転院する際に、寝たままで酸素吸入等をしつつ移送する場合に使う例もあります。
一回だけ使うので、介護保険の手続きまでは不要という場合にも手軽に使えるのがメリットです。
運転手
こちらの場合、運転する人が介護の有資格者である必要がありません。
そのため、乗り降りや外出前後の対応が含まれず、家族の対応が必要となる可能性もあります。
ただし、多くの事業者は介護の資格を持っている人をスタッフとして置いているようです。
運賃とは別料金で全額自己負担ですが、乗り降りの介助等もお願いできることが多いといえます。
介護保険タクシー利用の注意点
病院内での介助は運転手は行わない
介護保険タクシーでは、病院の受付までは運転手が介助をしてくれます。
しかし、病院内での移動は、基本的に病院のスタッフに任せるのが決まりです。
ただし、本人の状況によっては、病院内でも付き添ってもらえる例もあります。
保険の適用範囲は、市町村によっても異なる部分があるので、ケアマネージャーに相談して対応可能か確認しましょう。
原則として家族の同乗はできない
介護保険タクシーの場合は、基本的には家族が一緒に乗ることができません。
通常の移動のためのものではなく、本人のために介助を行うことが中心となるサービスだからです。
ただし、本人の健康状態により車内での対応が必要な時や、高齢の配偶者の場合など、一緒に乗ることが可能なこともあります。
市町村に許可をもらえば家族も一緒に乗れるケースもあるので、確認をしてみましょう。
介助の内容によって他のサービス扱いになる場合がある
介護保険タクシーの使用は、基本的に「通院等乗降介助」という名前になります。
しかし、状況によっては「身体介護」として扱われたり、「生活援助」扱いとなる例もあるのです。
例えば、要介護4や5の人で、外出前後の身支度や食事・入浴などで長時間の介助をしなくてはならないような場合は、「身体介護」となる可能性があります。
また、外出のついでにスーパーに寄って食品の買い物をするなら、「生活援助」となるかもしれません。
どこまでが「通院等乗降介助」で、どこからが「身体介護」「生活援助」になるのかという判断が、難しい時もあります。
この点は、ケアマネージャーにしっかり確認しておきましょう。
介護保険タクシーの利用方法
すでに要介護の認定を受けている人なら、まずはケアマネージャーに相談をしましょう。
「通院等乗降介助」の適用範囲か確認し、ケアプランの中に組み込んでもらう必要があるからです。
ケアプランでは、移動する際の目的地、介助の内容などを決めてもらいます。
その後、ケアマネージャーから業者を紹介してもらうことになるのです。
一方、まだ介護認定を受けていない人は、市町村の高齢者支援課等に行き、相談をしましょう。
自宅訪問などの調査を経て要介護と認められれば、介護保険タクシーを使える可能性があります。
ただし、認定の結果が、要介護よりも軽い状態である「要支援」とされるケースもあり、その場合は介護保険タクシーは使えません。
介護保険タクシー利用にかかる料金
料金の中には、運賃と介助料、介護機器レンタル料金が含まれています。
介護機器レンタル料金とは、車いす・ストレッチャー等を借りる場合の費用です。
この3つのうち、保険が使える対象は「介助料」だけで、これは1~3割の自己負担ですみます。
その他は、全部自分で支払わなくてはなりません。
運賃は通常のタクシーと同じようなメーター料金となっている例が多いのですが、介護用ということで特別に安価な料金にしている業者もあるので、確認してみましょう。
介護タクシーの選び方のポイント
ケアマネージャーに相談する
信頼できる業者を探すには、ケアマネージャーに相談することが必要といえます。
ケアマネは、その地域のサービス業者に関わる、様々な知識や経験があるからです。
介護保険タクシーを使いたい際は、ケアマネに相談するのは当然のことですが、介護福祉タクシーについても情報を持っている可能性があります。
「この事業所なら信頼できる」「同じようなケースについて経験がある」という情報を得ておくと、安心して利用できますね。
情報収集をする
介護タクシーを探す場合には、自分でも事業所やスタッフの情報を収集してみることが大切です。
地域によっては地元の事業所を紹介するサイトがあり、ホームページに介護福祉タクシーのリストを掲載している自治体もあります。
業者によって、スタッフの持っている資格やサービスの内容は様々です。
転院移送が得意、旅行案内ができる、広々とした車の用意が可能など、それぞれの特徴を見て業者を選ぶことが必要ですね。
また、調べた業者には電話でこちらの要望を伝え、きちんと対応してくれるかどうか確認しましょう。
例えば、本人の体調で心配なことや特に注意すべきこと等を伝えてみて、それに応じた介助が可能か確かめます。
このような細かい点をやり取りする中で、こちらの要望に合ったサービスができる業者かどうかを見極めることが大切です。
費用の確認をする
業者を決める前には、必ず費用についても確認しておくことが大切です。
運賃に加え、介助料や車いすなどのレンタル料金も入れると、金銭的な負担が大きくなることもあります。
契約をする前には必ず、どのくらいのお金がかかるのか見積もりをしてもらいましょう。
なお、自治体によっては障害者や寝たきり高齢者のタクシー利用について助成制度が設けられているところもあります。
お住まいの自治体にどんなサービスがあるか確認して、受けられる助成はできるだけ使いたいものですね。
高齢者の送迎や移動に困ったら介護タクシーの利用を考えよう
高齢者の送迎や移動に困った時は、介護タクシーを使えば便利です。
場合によっては、送迎に加えて、その前後の介助も任せられます。
例えば、家族が忙しく付き添いが困難な場合や一人暮らしの人でも、自力で通院が可能になりますね。
また、自宅に閉じこもりがちな人も外出がしやすくなり、気分転換にも役立つかもしれません。
ただし、使う際には様々な条件があり、費用もかかります。
必ず、内容をよく見極めてから使うようにしましょう。