介護施設のグループホームとは?サービスや入居条件をご紹介!
公開日: 2022年08月15日
更新日: 2022年08月15日
- 介護・高齢者施設
高齢者の介護施設に、グループホームというものがあります。
グループホームは、どのような施設なのでしょうか。
ここでは、他の老人ホームとは異なる特徴、入居の条件やサービスの内容について解説します。
また、そのメリットとデメリットについても知っておきたいものですね。
更に、入居の手順や選び方のポイントもみていきましょう。
グループホームとは?
認知症の人を対象とした小規模の老人ホームに、グループホームというものがあります。
ユニットという5人~9人までのグループを作り、共同生活をするものです。
各自個室で生活しますが、共用のキッチンや浴室等があり、介護スタッフがこのユニットの世話をします。
一つのホームには2つまでのユニットしか置かないのが原則です。
つまり、基本的に入居者は18人までと、こじんまりした施設になっています。
認知症の人は環境の変化に弱く、大規模な施設では混乱してしまう可能性があり、このような小規模の所の方が安定して生活できるでしょう。
ここでは、入居者自身も手助けを受けつつ家事を行います。
認知症のため、段取りが難しくなった人でも可能な限り家事をすることが、リハビリにもなるのです。
職員は認知症専門のスタッフで、入居者の自立度に合わせて援助をしてくれます。
最近では、このようなグループホームが多く作られるようになってきているのです。
グループホームの入居条件
入居できるのは、医師から認知症と診断を受けた人です。
認知症によって要介護認定を受け、要支援2・要介護1~5という判定を得た場合に入居が可能となります。
基本的に65歳以上が対象ですが、若年性認知症という診断であれば、64歳以下でも大丈夫です。
なお、そのホームの設置された市町村に住民票がある人だけという制限もあります。
これは、グループホームが現在住んでいる地域での生活継続を一つの目的としているからです。
従って、今住んでいる家の近くで施設を探すのが基本といえます。
家族の居住地に近い所に入居させたいという場合は、ホームのある市町村に住民票を移すという方法も。
ただし、一定期間その市町村に居住している者という条件がある例も見られます。
なお、生活保護を受けている人でも、生活保護法の指定を受けたホームなら入居が可能です。
グループホームのサービス
グループホームでは、ユニットごとに入居者が出来る範囲で協力して家事をします。
調理・食後の片付け・掃除などを各々の能力に応じて行うことで、自立度の維持が期待できる為です。
もちろん、入居者本人だけでは対応が難しいことは、介護スタッフによる援助を受けられます。
また、心身の機能維持や増進のために、リハビリも行われるのです。
グループホームは「地域密着型」というのが一つの特徴となっています。
そのため、その地域の住民の方と交流の場が設けられることが多いのです。
例えば、地域の運動会やお祭りなどの行事に参加する例が見られます。
ボランティアに来てもらって、お茶会やレクリエーションを行うなど、施設ごとに工夫して様々な交流が行われているのです。
なお、グループホームでは規定上、看護師などの医療スタッフ配置が必須ではありません。
従って、医療的なケアが必要な人は入居が難しい例もあります。
グループホームのメリット・デメリット
メリット
大きなメリットの一つとしては、認知症へのケアが手厚いという点が挙げられます。
認知症専門の施設であり、スタッフも専門知識を持って対応をしてくれるのです。
認知症の方の理解力・対応力の低下、特有の症状を理解し、適切な対応をすることで、入居者の混乱が少なく心安らかに生活できます。
また、可能な限り自分たちの力で生活をし、リハビリも受けられることで、自立度の維持が期待できるでしょう。
少人数のユニットごとに数人のスタッフが付くために、個別に目を配り細やかなコミュニケーションが取れます。
地域に密着した施設なので、それまで人生を過ごしてきた地域の中での暮らしを継続できるという点も魅力です。
デメリット
制度上、医療スタッフの配置が義務付けられていないため、看護師などはいない可能性があります。
そのため、医療ケアが不十分な可能性がある点がデメリットと言えるでしょう。
風邪を引いた時などは介護スタッフに看病してもらえますが、医療の資格を持っていないので不安な人もいるかもしれません。
また、点滴などの医療行為ができず病気によっては別の施設に移る必要があり、認知症以外の持病を持つ人の場合、入居が難しい場合もあるでしょう。
一つの施設に入居できる人数が少ないため、地域によってはなかなか空室が見つからない場合も。
更に、住民票がある市区町村の施設に利用が限られるという点が不都合と感じられるかもしれません。
グループホームの費用内訳
初期費用
入居の際は、多くの場合、最初に入居一時金を支払う必要があります。
これは通常の賃貸住宅における敷金に類似したもので、退去時に返還される可能性がありますが、利用料の未払いや部屋の汚損などがあれば差し引かれることも。
一時金の設定は施設によって異なり、10~20万円程度が相場ですが、無料というところもあります。
一方、100万円以上の高額の設定になっている施設もあるので、注意が必要です。
なお、一時金は入居後一定期間が経つと返還されなくなるという規定が設けられている場合もあるので、確認しておきましょう。
月額費用
グループホームの利用には、月々支払わなくてはならない費用も発生します。
例えば、食費や日用品代などの生活費や、施設の賃貸料などの支払いが必要です。
それに加えて、介護サービスを受けるための費用が発生しますが、どの程度の介護を受けるかによって料金が変わります。
なお、グループホームは介護保険制度における「地域密着型サービス」に含まれるものです。
従って、介護サービスの部分に関しては介護保険が適用となり、少ない自己負担で利用できます。
自己負担率は本人の収入によって異なりますが、1~3割です。
グループホーム入居の流れ
入居を検討する人は、すでに介護認定を受けている人がほとんどと思われますが、まだの人は要支援2又は要介護1~5という判定を得ておくことが必要です。
自治体の高齢者支援課等で相談をして、介護認定を受けましょう。
施設入居を決める際は、できれば複数の施設を比較したいものです。
ネットや資料請求で情報を集め、良いと思った施設に連絡をし見学をするとよいでしょう。
そのためには直接施設に連絡をとってもよいのですが、担当のケアマネージャーに連絡を取ってもらうことも可能です。
見学の際は、そのホームの設備や雰囲気・費用等を確認し、入居するかどうかを決めます。
入居を決めたら、健康診断書や住民票などの書類を提出しなくてはなりません。
これは、認知症であることや同じ市町村に住んでいることを証明し、入居の条件を満たしているか確認するためです。
また、健康状態を確認し、そのホームで受け入れが可能かどうかが判定されます。
グループホーム選びの注意点
費用をチェックする
入居検討の際には、費用を十分に賄えるか、将来のことも見通して考えておく必要があります。
途中で費用が不足することがないように、注意しましょう。
現在の貯蓄と年金等を合わせて、将来的にどの程度の費用を出せるのか計算してみます。
入居一時金を支払った上で、月々の諸費用を安定して払えるように計画を立てることが大切です。
老後を安定して生活していくために、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。
介護や医療体制を調べる
その施設の介護や医療の体制については、十分に確認しておきたいものです。
スタッフの数・夜間体制・資格保持者の配置などを確認し、他の施設と比較してみましょう。
また、特に身体的な不具合を抱えている場合は、体調を崩した時の医療体制も確認しておきたいものです。
看護師の配置の有無や、人によっては「看取り」に対応しているかどうかなども知っておきたい点ですね。
医療スタッフが施設内にいなくても、近隣の医療機関と提携するなどの体制が取られているか確認しましょう。
本人の身体状態に合わせて施設探しをし、場合によってはグループホーム以外の所も合わせて検討する必要があるかもしれません。
見学や体験入居をする
その施設の雰囲気や具体的なケアのやり方は、実際にその場に行ってみないと分かりにくいものです。
施設見学をして、自分の目で施設や職員の様子を確認しておくとよいでしょう。
ホームでの生活に馴染むには、職員の雰囲気や、他の入居者との相性なども大切。
見学の際は、食事時などに訪問し介護の様子を観察、疑問点があれば職員に聞いてみましょう。
なお、多くのグループホームでショートステイや体験入居を受け入れています。
可能であれば積極的に体験をして、どんな雰囲気なのか確かめたいものです。
グループホームとは認知症の適切な介護を目指す施設
グループホームは、認知症の高齢者が介護を受けながら生活できる施設です。
認知症の方への介護は様々な困難があり特別な配慮が必要でありますが、専門の施設なら適切なケアが期待できます。
また少人数で細やかな配慮を受けつつ、可能な限り自立して地域社会と繋がりながら生活することを目指す所でもあるのです。
認知症の人が、その人らしく老後を送ることを目指す施設と言えるでしょう。