在宅での介護を助ける居宅療養管理指導!サービスや利用について!
公開日: 2021年12月06日
更新日: 2023年03月13日
- 介護・高齢者施設
居宅療養管理指導とは、高齢者に向けた介護サービスの一種です。
これは、どのような特徴を持つものなのでしょうか。
まずは、居宅療養管理指導の内容や利用のタイミングについて解説します。
また、このサービスをを利用するための条件や手続きについても見ていきましょう。
さらに、気になる費用やメリット・デメリットについても説明します。
居宅療養管理指導とは
居宅療養管理指導とは、介護サービスの一つです。
要介護の人が適切な療養生活を送れるように、医療関係の専門家が自宅を訪問して指導・管理をしてくれます。
訪問してくれるのは、医師・薬剤師の他、歯科医師・歯科衛生士、管理栄養士です。
以前は看護師による居宅療養管理指導も行われていましたが、現在は廃止されています。
自宅で療養している高齢者の中には、通院が困難な人もいるでしょう。
そのような状態を放置すると、持病が悪化したり、適切な介護を受けられない場合もあります。
このサービスでは実際の診療・治療は行われませんが、介護や療養の仕方について判断・指導してくれるのです。
また、口腔ケアや栄養面の指導、服薬の管理等もあり、ケアマネジャーとも連携しながら自宅で適切な療養ができるように支援してくれます。
居宅療養管理指導の対象者
このサービスは、介護認定により要介護1以上という認定を受けた人が対象です。
要介護よりも軽い段階の「要支援」とされた人は対象外ですが、代わりに「介護予防居宅療養管理指導」というサービスがあります。
特に、健康上の問題を抱えている人、自宅での生活をしているが通院が難しくなった人は、このサービスを受けるとよいでしょう。
病気があっても自力で定期的な通院ができ、医師等の指導に応じて適切な療養をしている人の場合は必要がないといえます。
なお、介護認定を受けられるのは、基本的に65歳以上の高齢者です。
ただし、例外的に40歳から64歳の人でも介護認定を受けられる場合があります。
例えば、末期がんや関節リウマチのような加齢が原因となる特定疾患の人です。
居宅療養管理指導の利用タイミング
高齢者の一人暮らし、あるいは高齢者だけの世帯では、適切な療養ができなくなっている場合があります。
また、家族がいても仕事等で忙しく、なかなか病院に連れていけないという場合もあるでしょう。
例えば、通院や介護が必要なのに、医療や介護サービスと繋がっていない場合もあるのです。
また、通院していてもきちんとした服薬ができていない人や、食事に偏りがあって健康上の問題につながっている人もいます。
歯科に通うことが難しく、入れ歯や歯磨きなど適切な口腔ケアができていない人も。
このような問題が出てきたときは、居宅療養管理指導のサービスを利用するタイミングといえるでしょう。
その他、訪問医療や往診でトラブルが発見され、それがきっかけでこのサービスの利用につながることもあります。
居宅療養管理指導の利用の流れ
サービス利用の流れ
このサービスを利用するためには、まず要介護という認定が必要です。
要介護の人が、ケアマネジャーや主治医と相談する中で、このサービスを受けた方がよいということになれば、利用が検討されます。
訪問してくれる医師や薬剤師等のいる事業所は、ケアマネジャーが知っているので紹介してもらいましょう。
対応してくれる所が見つかったら契約を結び、サービスの利用が開始されます。
事業所選びの注意点
近隣の事業所(このサービスの場合は、病院や診療所など)の中から、実際に訪問してくれる所を選びます。
できれば、いくつかの事業所の中から、自分に合った所を選びたいものです。
評判や費用などについてもケアマネジャーから聞いておき、比較をしながら検討しましょう。
普段から通っている診療所や薬局でも対応してくれる場合があるので、ケアマネジャーに問い合わせてみるとよいですね。
居宅療養管理指導のサービス
医師または歯科医師による指導
医師や歯科医師が自宅を訪問して、身体の状況や療養環境を確認します。
身体に問題があれば、通院や訪問医療を受けるように意見が出されるかもしれません。
また、服薬の状況などを確認し、療養の仕方を指導してくれます。
あくまで指導であって、診察や治療は行われないことに注意が必要です。
介護の受け方についても、必要に応じて指導が行われます。
場合によっては、ケアマネジャーにケアプラン作成のための情報提供を行うことも。
介護職と連携しながら、利用者の療養・介護を支える役割を持っているのです。
薬剤師による指導
薬剤師は、医師や歯科医師の指示があれば、服薬の管理指導を行います。
利用者が、適切な薬の使用ができているか確認し、問題があれば対処方法を考えてくれるのです。
例えば、飲み忘れがあって沢山の薬が残っているような場合は、きちんと飲めるように考えてくれます。
多くの種類の薬を一回分ごとに一つの袋にまとめる、薬を錠剤から散剤に替える等の工夫もありますよ。
複数の医療機関に通っている場合、薬の重複や飲み合わせの問題を発見することも。
総合的に薬の服用や使用状況を判断し、トラブルの防止や効果的な療養に繋がるよう対処してくれるのです。
管理栄養士による指導
管理栄養士は、高齢者の食事の改善や栄養の指導を行います。
バランスのよい栄養を十分に摂取できるように、食事全般についてチェックし提案してくれるのです。
例えば、高齢になると食が細くなり低栄養状態になることがあります。
このような人に対しては、何が不足しているかを調べ、献立や栄養補助食品の提案をしてくれることもあるのです。
また、噛む力や飲み込む力が衰えてしまった人には、食べ物を柔らかくし、飲み込みやすい形に調理する方法も教えてくれます。
更に、食事介助の際には食べる時の姿勢についてもアドバイスをしてもらうと安心です。
その他、糖尿病や肥満で食事制限が必要な人も栄養の指導が受けられるでしょう。
歯科衛生士による指導
歯科衛生士は、口腔ケアや嚥下機能についてのチェックや指導を行います。
歯磨きや入れ歯の管理状況や、飲み込む機能の衰えを調べることは、栄養改善や誤嚥性肺炎の防止につながるからです。
高齢者のもとに訪問した歯科衛生士は、実地に歯の清掃をしながら正しいケアの仕方を教えてくれます。
入れ歯を使っている人なら、本人の口に合っているかどうかや手入れの仕方等もチェックしてもらえるでしょう。
また、お口の中を観察するだけでなく、物を噛む・唾を飲み込むなどの動作をしてもらって状況を把握し、口腔ケアや食事の指導につなげます。
このような作業は、必ず歯科医の指示に基づき、計画書を作ってから行われるものです。
居宅療養管理指導の費用
費用は、1回あたりの利用料が定められており、それに基づいて計算されます。
訪問する人の職種によって費用が変わりますが、目安としては、訪問1回につき約300円〜500円程度です。
また、介護保険を使ったサービスなので自己負担は一部分で済みます。
収入が多い人は2~3割負担となりますが、多くの人が1割負担です。
なお、介護保険には支給限度額というものがあり、1か月に受けられる額に上限があります。
しかし、このサービスの費用は、この支給限度額には含まれません。
つまり、他の介護サービスを限度額いっぱいまで利用していたとしても、居宅療養管理指導に関しては別枠で受けられるのです。
ただし、ひと月に利用できる回数は薬剤師・歯科衛生士は月に4回まで、他の職種は月に2回までとなっています。
居宅療養管理指導におけるメリット・デメリット
メリット
通院の負担軽減につながる
このサービスは、医師や薬剤師などの専門職が自宅に来てくれるので、通院などの手間がかかりません。
そのため、1人暮らしの高齢者や、在宅介護をしている家族の負担軽減につながります。
足腰が弱った高齢者が、病院等に出かけるのは大変なことです。
付き添いをする家族も、仕事を休み外出の介助をするなど負担が大きいでしょう。
しかし、このサービスを利用すれば自宅にいながらにして指導を受けられます。
出かける途中で転ぶ、病院で感染症をうつされるなどのリスクも減るはずです。
指導を必要に応じて受けられる
高齢者の生活には、身体に関する様々な悩み事やトラブルがつきものです。
このサービスを利用すれば、その問題についてピンポイントで専門家に指導を受けられます。
例えば、入れ歯が合わない、食事が摂りにくい、薬の管理ができないなどの悩みには、それぞれの専門家に見てもらうことが大切です。
自宅に訪問してもらうことで普段の様子がリアルに伝わり、経験を積んだ専門家ならではの具体的なアドバイスがもらえます。
また、訪問の結果はケアマネジャーに報告されるので、それに基づいてケアプランの見直しをすることも可能です。
デメリット
医療行為を受けることができない
このサービスでは、医師や歯科医師が訪問するからといって実際の医療行為を受けることはできません。
あくまで、「指導によって自宅での生活を支援すること」が目的だからです。
せっかく訪問してくれたのに、診断や治療を受けられないというのはもどかしく感じるかもしれません。
もし、自宅で医療行為もしてもらいたいという場合には、訪問診療や往診と組み合わせて利用する必要があるのです。
訪問診療や往診は介護保険ではなく医療保険の対象となり、費用も割高になります。
居宅療養管理指導は在宅介護の心強い味方
身体の機能が弱った高齢者にとって、通院は大変なこと。
介護をする家族にも大きな負担がかかります。
このような人にとって、このサービスは心強い味方となるでしょう。
医師などの専門家に依頼すると、身体機能、口腔機能や嚥下機能、栄養状態などのチェックを自宅で受けられます。
医療行為はできませんが、在宅でのケアを改善することができるでしょう。