居宅介護支援とは?サービスの内容や利用におけるポイントをご紹介
公開日: 2022年09月09日
更新日: 2022年10月24日
- 介護・高齢者施設
在宅で介護サービスを受ける人は、まず居宅介護支援や介護予防支援というサービスを利用することになっています。
これは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、居宅介護支援・介護予防支援のサービス内容や、利用できる条件について解説します。
また、利用するための流れや利用する上でのポイントについても確認していきましょう。
居宅介護支援とは?
在宅で介護を受ける際には、どんなサービスをどの程度利用するのか計画を立てなくてはなりません。
また、介護サービス事業所との連絡、介護保険の手続き等も必要となるでしょう。
このような介護の計画や調整等を行うサービスを、居宅介護支援と呼びます。
これは、要介護とされた人が介護を受ける際に必ず行われるものであり、適切なサービスを受けるために大切なものです。
これを利用するためには、居宅介護支援事業所と契約をします。
すると、ケアマネジャーと呼ばれる専門家が自宅を訪問し、本人や家族の状況を把握しながら対応してくれるのです。
なお居宅介護支援に準ずるものとして、要支援の人を対象とする「介護予防支援」というものがあります。
居宅介護支援や介護予防支援の利用者は増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると平成28年には全国で359.2万人の人がこれらのサービスを利用しているのです。
居宅介護支援の利用条件
このサービスを利用するには、介護認定を受けることが必要です。
介護認定には要支援と要介護の2種類があり、居宅介護支援の場合は、要介護1~5と認定されなければなりません。
なお、このサービスを受ける人は、月に1回以上ケアマネジャーに訪問してもらう必要があります。
要介護の人の状況は短期間で変化する可能性があり、それに応じてケアプランと呼ばれる介護計画を作り直す必要があるからです。
一方、要支援1または2という認定の場合は、介護予防支援と呼ばれるサービスを受けることになります。
ケアプランの作成等をしてくれるという点は、居宅介護支援と同じです。
ただし、介護予防支援の場合、ケアマネジャーの訪問は3か月に1回以上と、やや少ない設定となっています。
また、支援のサービスを行うのは居宅介護支援事業所の場合もありますが、通常は地域包括支援センターで、ここに所属するケアマネジャーが担当するのです。
なお、居宅介護支援や介護予防支援の自己負担額は0円で、無料で利用できます。
居宅介護支援利用の流れ
要介護認定を受ける
介護サービスを利用したいと思った時は、介護認定を受ける必要があります。
まずは自治体の高齢者支援課などに相談をし、認定の申請をしましょう。
介護保険の受給者証を持参して手続きをすると、認定調査が行われます。
調査員が自宅を訪問、本人や家族の様子を把握すると共に、主治医の意見書が提出されて、それを元に介護度の認定をするのです。
概ね1か月以内に認定の結果が出て、「自立」「要支援1~2」「要介護1~5」のいずれかの判定が出ます。
「自立」とされた場合には、介護保険を使うことはできず、居宅介護支援等のサービスも受けられません。
介護認定の手続きについては、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所でも相談に乗ってくれます。
居宅介護支援事業者・ケアマネジャーの選定
要介護と認定されたら、自治体の介護保険課で居宅介護支援事業所の一覧表をもらいます。
これには、自治体で認められた事業所が載っているので、その中から選びましょう。
居宅介護支援事業所の選び方としては、住まいに近い事業所の中から選択する例が多く見られます。
近隣の訪問介護サービスやデイサービス等について詳しく、マッチングをしやすいからです。
事業所によってはデイサービス等を併設している所もあり、利用したい施設に合わせて居宅介護事業所を選ぶ方法もあるでしょう。
また、居宅介護支援事業所には複数のケアマネジャーが所属していることが多いので、その中から担当となる人を選びます。
なお、要支援の人が介護予防支援を受けるのは、自宅の近くにある地域包括支援センターです。
そこで、所属しているケアマネジャーを紹介してもらいましょう。
アセスメント
ケアマネジャーが決まったら、自宅に訪問しての聞き取りが行われます。
本人や家族の状況や希望を聞き、利用したいサービスやその時間帯などを考えるのです。
この作業をアセスメントと言います。
望ましい生活や介護の形は人それぞれなので、はっきりと希望を伝えることが大切です。
ケアプラン作成
アセスメントを行った後は、それを参考にケアマネジャーがケアプランの原案を作ります。
介護の目標や内容・回数などを決めると同時に、どの事業所に依頼するのか等を考え、計画書を作ってくれるのです。
この原案ができたら、サービス担当者会議というものが開かれます。
本人・家族・介護サービス事業者・主治医が集まって会議を開き、ケアプランの検討をするのです。
サービスの利用開始
ケアプランが決定したら、介護サービスの事業所と契約をします。
契約書を交わして、サービスの内容や費用について十分に確認をしましょう。
この手続きも、ケアマネジャーが手伝ってくれます。
契約が済んだら実際にサービスの利用ができるようになり、訪問介護・デイサービス等を使えるようになるのです。
居宅介護支援のサービス
ケアプランの作成
居宅介護支援の中心となるものが、ケアプランです。
介護保険を利用した介護サービスを受けるには、このケアプランが必要となります。
そのため、居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャーがケアプランを作ってくれるのです。
例えば、訪問介護を受けるとしたら週に何回来てもらうのか、何をしてもらうのかを細かく決めます。
また、それによって何を目標とするのかという点も検討、記載されるのです。
更に、そのサービスを利用する際の費用も計算され、本人の経済状況に合わせた計画を立てることになります。
定期的な訪問とプランの見直し
ケアプランは一度作成したら、そのままずっと同じものが使われるとは限りません。
状況に応じて変更が加えられ、随時最適なプランに従って介護を進めていくことになります。
そのため、ケアマネジャーは、ケアプランの作成後も、月に一回以上は訪問をしてヒアリングを行うのです。
ここでは今の生活の状況や、設定した目標がどの程度満たされているかを確認します。
その上で、状況に合わせてケアプランの見直しをしてくれることになっているのです。
サービスの内容や介護ヘルパーとの相性なども、この時に相談をすると、見直しをしてくれるでしょう。
手続き・連絡の調整
介護認定には期限があり、一定の期間が経つと更新が必要です。
この更新を怠ると、介護保険の利用が停止されてしまいますが、ケアマネジャーはこの手続きをしてくれます。
また、介護度が変化した時には、区分変更の手続きをする必要がありますが、この場合もケアマネが手伝ってくれるでしょう。
このような介護保険に関わる手続き全般について、担当のケアマネが代行してくれるのです。
また、自治体との連絡や、介護サービス事業所との調整などについても、ケアマネジャーが間に立ってくれます。
介護サービス事業所に要望を伝えたい場合にも、ケアマネジャーにお願いをするとよいのです。
居宅介護支援利用のポイント
自身の情報や思いを伝える
ケアプランを作る際は、本人や家族の様子や希望を十分に伝えることが大切です。
ケアマネジャーは、聞き取りをしたことを元にケアプランを作るので、きちんと伝えないと後で困ることになるでしょう。
遠慮したり、見栄を張ったりすることなく、困っていることや不安なことを正直に伝えることが必要です。
そうしないと、適切な介護を受けられず不便な思いをするかもしれません。
また、過剰な介護によって費用がかさむ、本人の自立を妨げるという問題も起こります。
丁寧に状況を説明して、ケアマネジャーに十分に理解してもらうようにしましょう。
相性の良い事業所・ケアマネジャーを選ぶ
多くのケアマネジャーは、利用者に親身になって相談に乗ってくれますが、時には相性が合わないこともあります。
ケアマネジャーは介護を受けている間、ずっと密にコミュニケーションを図る必要があるので、本人や家族が話しやすい人でないとうまくいきません。
なんでも正直に話すことができそうか、悩みや相談を受け入れてくれそうかなどをよく見極める必要があるでしょう。
また、きちんと話を聞いてくれない、ケアプランの内容が希望とずれている等の場合には、ケアマネジャーの交代も検討しなくてはなりません。
どの事業所を選ぶべきか悩んでしまった場合は、地域包括支援センターや市町村の窓口でも相談できます。
居宅介護支援事業所やケアマネジャーは、介護を受ける人やその家族のために適切な介護を考えるのが仕事です。
困った時には遠慮をせずに、小まめに相談をするようにしましょう。
居宅介護支援は介護サービスを受ける際の心強い味方
ケアマネジャーによる居宅介護支援は、介護サービスを利用する中で重要な役割を担っています。
介護の計画を立て、介護保険を使いながら上手く介護サービスを受けられるよう、援助してくれるのです。
介護の専門家であり、地域の事情にも詳しいケアマネジャーに相談すれば、適切なサービスにつなげてもらえます。
また、在宅介護の中で生じた様々な問題についても相談に乗ってもらうこともできます。
居宅介護支援は、介護を受ける人やその家族にとって心強い味方となるでしょう。