訪問入浴介護のサービスについて!利用の流れやメリットを紹介!
公開日: 2023年05月18日
更新日: 2023年02月16日
- 介護・高齢者施設
訪問入浴介護とは
このサービスは、介護が必要な人の自宅に専用の浴槽を持ち込んで入浴させるものです。
寝たきりなど身体が不自由な人でも、身体を清潔に保ち湯船に浸かってリラックスすることができます。
また、自宅の浴室が狭く、介助者が自由に動けないため入浴が難しくなる例もあるでしょう。
このような場合でも、リビングなど広い場所に浴槽を持ち込むので、きちんと入浴し身体を洗ってもらうことができます。
このサービスで訪問してくれるのは、ほとんどの場合で入浴介助をする人が2人、看護師が1人です。
入浴の前に看護師が健康チェックをしてくれるので、体調に不安がある人でも安全といえるでしょう。
入浴は身体を清潔にするだけでなく、楽しみの一つでもあります。
このサービスを利用することで、これまで入浴ができなかった人の生活の質が高まる可能性があるのです。
訪問入浴介護と訪問介護の入浴介助との違い
使用する浴槽
似たようなサービスに、訪問介護における入浴介助というものがあります。
大きな違いは、使用する浴槽を利用者の自宅に持ち込むかどうかという点です。
訪問介護の入浴介助の場合、使用するのは自宅の浴室であり、身体を洗うのも浴室内の洗い場となります。
従って、自宅のお風呂に十分な介助スペースが必要となるでしょう。
一方、訪問入浴介護では、使用するのは専用の浴槽です。
サービスを提供する人が、車で浴槽を運んできてリビング等に設置し、その中で身体も洗うので自宅のお風呂は使いません。
スタッフの人数
訪問介護の入浴介助では、介護スタッフが1名訪問して見守りや介助を行います。
一方、訪問入浴介護の場合は、基本的に3名のスタッフが訪問してくれるのです。
介護をする人が2名、看護師1名がついているので、寝たきりの人でも安全に入浴ができます。
一方、訪問介護の入浴介助では、介護度の重い人の場合は介助が難しいことがあるでしょう。
訪問入浴介護の場合は、看護師が血圧や体温・心拍数などもチェックし、心配な時は医師に問い合わせをしてくれます。
また、場合によっては部分浴や身体の清拭に切り替えるなどの対応も可能です。
訪問入浴介護のサービスの利用条件
このサービスを利用できるのは、要介護認定で1~5の認定を受けている人です。
介護認定を受けていない人や、認定の結果が要支援となった人は利用できません。
また、ケガや病気など身体状況によっては入浴が望ましくない場合もあるでしょう。
このサービスを受けるためには、医師からの許可も必要となります。
そのため、訪問入浴介護を利用したいという場合は、事前に主治医に相談し許可を得ておくとよいでしょう。
また、医療機器を使用している場合、入浴が難しいこともありますが、医師の許可があればサービスの利用ができるのです。
なお、要支援の人の場合は、介護予防訪問入浴介護という同様のサービスがあります。
ただし、自宅に浴室がない人や、感染症でデイサービス等での入浴が利用できない人などが対象です。
訪問入浴介護に必要なもの
訪問してもらう際、基本的に必要なのは着替えですが、印鑑や介護保険の保険証を求められる場合もあります。
浴用タオル・バスタオルは訪問スタッフが持参することもありますが、自前で準備しておくように言われる場合も。
ボディソープやシャンプー・リンス、入浴剤などは用意してくれますが、本人の好みなども考えて相談しておきましょう。
専用の車両から給湯することがほとんどですが、マンションの高層階などでは自宅の浴室からお湯を取る必要があります。
何を用意すべきかという点は、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
また、入浴の際はリビングなどに浴槽を置き、その周りをスタッフが取り囲んで介助を行うので、十分に動けるよう片づけておきましょう。
訪問入浴介護のサービスの流れ
サービスの流れ
健康のチェック
入浴をする前には、必ず健康チェックを行います。
看護師が本人や家族に当日の健康状態を尋ね、血圧・心拍数・体温を計ってくれるのです。
必要があると看護師が判断したら、医師に問い合わせが行われることもあります。
入浴は身体に負担がかかることもあるので、調子が悪い時は遠慮せずに伝えましょう。
場合によっては入浴を中止したり、足湯や温めたタオルで身体を拭く方法に切り替えることもできます。
浴槽の準備・利用者の脱衣
入浴しても問題がないと看護師が判断すれば、浴槽にお湯を張ります。
スタッフが床にビニールシート等を敷いた上に専用の浴槽を設置し、お湯を入れてくれるのです。
お湯が十分に溜まったら温度のチェックをして、利用者本人の服を脱がせてくれます。
この時、本人が裸になることに抵抗を感じる場合もあり、バスタオルなどを身体に掛けた状態で入浴させることもできますよ。
入浴
スタッフが利用者の状況に合わせ、身体に負担がかからない方法で浴槽に入れてくれます。
自分で浴槽に入れなくても、抱き上げて入れてくれるのです。
例えば、寝たきりの人なら、専用の担架などを使って、横になったままお湯に浸かることができます。
一般的には、顔や髪を洗った後、身体を洗ってくれ、男性の場合、髭剃りなども可能です。
身体がきれいになったら、しばらくお湯に浸かり、リラックスする時間がとられます。
利用者の着衣
入浴が終わったら、パジャマなどへの着替えを介助します。
身体を拭き、おむつなども含めて身なりを整えてくれるのです。
その後、ドライヤーで髪を乾かし、場合によっては爪切りなども行われます。
健康チェック・浴槽の片付け
一休みした後、再び看護師による健康チェックが行われます。
入浴によって体に負担がかかる場合もあるので、血圧・脈拍・体温などを計り体調を確認してくれるのです。
スタッフが浴槽のお湯を捨て、片づけをしてサービスの終了となります。
浴槽は使用後にそのつど消毒され、清潔な状態で次の利用者の元に向かうことになるでしょう。
サービスの所要時間
訪問スタッフが自宅に来たあと、準備から片付けまでには約45分から50分の時間がかかるでしょう。
利用者が焦らずにゆったりと過ごせるよう、余裕をもって予定を立てておく必要があります。
なお、このサービスの提供時間は事業所によって異なり、一般的には朝から夕方までです。
また、日曜祝日が定休日となっていることもあるので確認が必要ですね。
定められた時間内なら、いつでも予約を入れることができますが、利用者本人の生活リズムに合わせて決めるのが理想的といえるでしょう。
訪問入浴介護のサービスの費用
このサービスを利用する際、介護保険を使用するので自己負担は1割(所得によっては2~3割)ですみます。
サービスの料金は、要支援と要介護で異なっており、要支援の人の方が低い設定です。
例えば、自己負担額の目安(1割負担の場合)は、要介護の全身浴で1回につき1260円が目安となります。
要支援の人なら、852円です。
また利用者の健康状態や身体状況によっては、全身浴が難しい場合があります。
この場合、部分浴や清拭(温めたタオルで身体を拭く)にすることもあるでしょう。
部分浴などは、全身浴よりも簡単な作業になるため、通常よりも割引された料金となっています。
要介護の人の部分浴や清拭なら、1134円が目安です。
要支援の人なら部分浴・清拭は、767円となります。
訪問入浴介護のサービスのメリット・デメリット
メリット
このサービスを利用すれば、専門のスタッフの手を借りながら入浴の全てを任せることができます。
そのため、これまで入浴が難しかった人、大変だった人でも安心してお風呂に入れるでしょう。
介助をする家族にとっても、負担を減らすことに繋がります。
また、利用者本人も、身体を清潔にでき気分転換やリラックスができるでしょう。
きちんと身体を洗うことは、褥瘡などの予防にもつながります。
浴槽でしっかり身体を温めれば血行が良くなるので、身体の凝りをほぐし腰痛などを軽減できる可能性もあるのです。
デメリット
このサービスは、訪問介護による入浴の介助と比べると費用が高くなってしまいます。
スタッフが3人必要(訪問介護なら1人)であり、浴槽や専用車両の用意もあるため、どうしても割高になるのです。
また、看護師が来てくれるといっても医療行為を行なうことはできないことに注意しましょう。
訪問看護等とは異なり、あくまで入浴前後の健康チェックしかできません。
また利用者によっては、訪問入浴がかえってストレスになることもあります。
他人の前で裸になることや身体を洗ってもらうことに、抵抗を感じる人がいることも知っておきましょう。
訪問入浴介護を使えば生活の質を高め介護者の負担を減らせる
要介護の人のため、自宅に専用の浴槽を持ち込んで入浴をさせてくれる訪問入浴介護。
これを使えば、寝たきりの人や、自宅の浴室が狭く介助が難しい人でもお風呂に入れます。
人前での入浴に抵抗感を持つ例もありますが、なかなかお風呂に入れない人が湯船でリラックスできるかもしれません。
上手く利用すれば生活の質が高まり、介護する家族の負担も減る可能性がありますね。