介護保険制度の概要と介護保険を通じて受けられるサービス

公開日: 2020年07月29日

更新日: 2022年04月08日

  • 介護・高齢者施設

◆まず、介護保険とはどのような保険?

介護保険制度の運営主体(保険者)は、行政(全国の市区町村)で、納められた保険料と税金で運営されています。
介護保険は、介護を受けるにあたり必要となる費用に対して給付をしてもらえる保険です。
サービスを受けるためには原則1割の自己負担となっています。
ただし、前年度の所得に応じて、自己負担率が2割もしくは3割になることがあるので注意が必要です。

また、保険制度となっていますので、給付を受けるための諸手続きや審査を経て給付を受けることとなります。

◆保険料の支払いについて

40歳になると介護保険への加入が義務付けられ、介護保険料を納めはじめることになります。
40歳から64歳までの被保険者は加入している健康保険と共に徴収がなされます。
65歳以上の被保険者は、原則として年金からの天引きで市区町村が徴収します。
徴収金額については、その自治体によって介護設備の環境が整っているかどうか、要介護者の人口がどのくらいいるのかどうか、によってさまざまなため、自治体ごとに金額が多少異なります。
ですが、負担が大きくなり徴収額に偏りがでないようにするため、そして、低所得者の保険料軽減のために国の調整交付金が使われバランスを保っています。

◆介護保険で受けられるサービス

実際に介護保険のサービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定は申請してから原則30日以内に結果の通知があります。

認定されたら、担当のケアマネージャーと相談しながら最適な介護サービスを選定していきます。介護保険には様々なサービスがありますが、大きくわけると2つです。

自宅で利用するサービス訪問介護(ホームヘルプ) 訪問看護 夜間対応型訪問介護 訪問入浴介護 訪問リハビリテーション 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 居宅療養管理指導
自宅から通って利用するサービス通所介護(デイサービス) 認知症対応型通所介護 地域密着型通所介護(小規模デイサービス) 療養通所介護 通所リハビリテーション(デイケア)
泊りで利用するサービス短期入所療養介護(ショートステイ) 短期入所生活介護(ショートステイ)
訪問・通い・泊りを 組み合わせるサービス小規模多機能型居宅介護 複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
生活環境を整えるためのサービス福祉用具貸与 住宅改修 特定福祉用具販売

 

  • 施設に入居して利用できる介護保険サービス
介護保険施設介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院
地域密着型サービス認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
特定施設特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護

 

  • 在宅介護で利用できる介護保険サービス

上記の他に、介護保険を適用して利用できるサービスに「介護タクシー」があります。
日常生活において、自分一人では介護を必要としており、車に乗ることが困難であり、外出が難しい際に利用できるサービスです。
なお、利用対象となる方は、要介護1以上となります。
介護タクシーの職員(運転手)は、介護職員初任者研修以上の資格を持っているため、車の乗り降りの際のサポートに限られず、着替えなどの介助もサポートの範囲となるので、安心して利用ができます。

◆実際にサービスを受けられるのは何歳から?

介護保険の加入者は、第1号被保険者(65歳以上の方)と第2号被保険者(40歳から64歳までの方)の2つに分けられます。
もちろん保険料の支払い義務はどちらにもありますが、原則として、介護保険の受給対象となるのは、65歳以上の第1号被保険者だけです。
第2号被保険者は老化に起因する指定の疾病(16の疾病)により介護認定を受けた場合に限り、はじめてサービスの対象となるのです。

【40歳から64歳までの方が介護保険で対象となる疾病(特定疾病)】

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)

◆区分支給限度額とは?(月々のサービスの限度)

区分給限度額とは、介護給付の対象となる限度額のことをいいます。
在宅介護で利用する「居宅介護サービス」では、要介護認定別に「区分支給限度額」というものが定められています。
要介護認定は要支援1~2と要介護1~5の7つ認定階級となっています。
要支援(介護)の数字が大きいほど支給限度額の金額は大きくなっていき、介護保険のサービスの幅も大きくなっていきます。
サービスの幅が手厚くなるということは、その分、毎月の自己負担額も大きくなります。(通常は1割負担)  

介護度区分支給限度額(30日)自己負担額(30日)
要支援15万320円5,032円
要支援210万5,310円1万0,531円
要介護316万7,650円1万6,765円
要介護419万7,050円1万9,705円
要介護527万480円2万7,048円
要介護630万9,380円3万938円
要介護736万2,170円3万6,217円

(1単位=10円で計算) 出典:『2019年度介護報酬改定について』(厚生労働省) 2019年02月13日時点

◆支給限度額を超えてしまったら?

区分支給限度額を超えた部分については介護保険の支給対象から外れてしまいます。
その場合には、超えた部分について丸々10割を自己負担することになってしまうため、注意が必要です。
介護保険サービスを利用する際には、事前に担当のケアマネジャーがつき、介護を行なっていくうえでの、「ケアプラン」を作成することになります。
介護保険のサービスは多岐に渡りますので、ご自身に最適なプランを検討してもらい、区分支給限度額を超えないような介護保険サービスの使い方を相談しながら決めていくことが可能です。

また、健康保険における「高額医療費」と同じように、「高額介護サービス費」というものがあります。
これは、介護保険サービスを利用した際に支払った自己負担額の合計が所定の上限額を超えたとき、申請すれば超えた分について支給を受けられるという制度です。
自己負担の上限金額は、通常は1割負担ですが、所得などの条件によって区分されますので、事前にご自身でご確認、もしくは市区町村の介護保険担当の窓口でご相談されるのがよいでしょう。

介護保険のサービスを受ける際、周りに頼れる方がいない場合

介護保険を利用して、例えば介護施設に入居しようとすると、身元保証人の署名が必要になります。
しかし、おひとり様の方や、ご家族がいても身元保証を依頼できないという方はいらっしゃいますよね。
そのような場合には、身元保証をしてくれる会社や団体を頼りましょう。

身元保証相談士協会は、介護サービスを利用する際や病院に入院する際の身元保証をしてくれる専門家団体です。
その他にも施設費用の支払い代行や、万が一亡くなった場合の死後事務手続きといった身の回りのことを何でも任せることができます。
老後の生活サポートや亡くなった後の供養・手続きなどに少しでも不安のある方は、活用してみるといいかもしれません。
相談には無料で対応してくれますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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