コロナ禍におけるレクリエーションの現状

公開日: 2022年06月10日

更新日: 2022年06月14日

  • 介護・高齢者施設

私たちの生活は、新型コロナウイルス感染症の出現とともにガラリと変わりました。コロナ禍も3年目となり、ニューノーマルにも慣れ始めた頃ではありますが、介護付き有料老人ホームにおいては徹底した感染予防はもちろんのこと、クラスターを起こさせないための日常的な努力は引き続き行われています。
介護付き有料老人ホームの特徴のひとつである充実したレクリエーションもコロナ禍の影響を避けることは出来ず、規模の縮小や開催の中止を余儀なくされてきました。

レクリエーションは入居者の心のよりどころ

新型コロナウイルスの感染力に衰えが見えない以上、老人ホーム側も入居者の命を守るべく、家族との面会や外部講師を招いたレクリエーションは控え、中止せざるを得ない状況にあります。しかしながら、今年に入ってからは少しずつではありますがレクリエーションの再開または以前とは形を変えた内容で開催するホームが出てきたように感じます。

なぜそこまでしてレクリエーション開催にこだわるのかと言いますと、レクリエーションは高齢者の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を向上させるという明白な目的があり、実際にレクリエーションを行った入居者の表情が和らいだり、体力の改善が見られたりと効果が期待できるため、できる限り開催したいと考えているためです。

老人ホームの入居者は、基本的には日常生活を送るうえで介護サポートを必要とされる方が多く、そもそも外出をしたり、趣味を行う機会も少ない傾向にあります。そのような方々が新型コロナウイルス感染症予防によってさらに外出をする機会が減り、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の低下が顕著となっていました。改善できる手段の一つが気軽に気分転換が出来るレクリエーションであるため、老人ホーム側は出来る限りレクリエーションを開催しようと試行錯誤しているのです。

レクリエーションは他の入居者とのコミュニケーションが取れる貴重な機会です。体操では普段動かすことのない部位を動かしたり、工作や手芸では指先で細かい作業を行うことで脳トレにもなります。レクリエーションには高齢者の心身の機能充実を見込める重要な役割があると言っても過言ではありません。

様々なレクリエーション活動

気分転換が出来ると入居者やご家族から好評なのが、外出レクリエーションです。季節ごとに初詣やお花見、バスツアーや外食レクリエーションなどを企画している老人ホームも多く、ご家族が一緒に参加したり、車いすの方も安心して参加できるよう工夫されています。

コロナ禍の現在では、屋外であるとはいえ、人が密集する場所や時間帯に大勢で外出することは厳しく、少人数グループに分けて近所の公園や神社への外出を行ったり、理学療法士などの機能訓練専任のスタッフが常駐している老人ホームでは、リハビリの一環と称して機能訓練指導員と共に老人ホーム周辺を歩いたり、レクリエーションのあり方を変えて開催するホームも出てきました。外出が可能になったことにより、施設内だけのレクリエーションよりも気分転換でき、確実に入居者のモチベーション向上に繋がっています。

新型コロナウイルス感染症予防のため室内レクリエーションのみ開催されていた頃に比べ、外出する機会を設けたことで、明らかに入居者の表情が和らいだと感じているスタッフやご家族の声を多くいただいています。太陽を浴び、外の新鮮な空気を吸いながら散歩をすることで、歩行訓練のみならず、心のリハビリにも繋がっているように感じます。また、室内での機能訓練の参加を渋っていた方も参加しやすいようです。

むろん、入居者およびスタッフの感染予防は徹底し、体調管理にも細心の注意を払って日々レクリエーションを行っています。

オンラインによるレクリエーションの充実

新型コロナウイルス感染症予防の観点から、オンラインレクリエーションを取り入れるホームも増えてきましたオンラインでは動画配信をただ見る場合とは異なり、双方向のコミュニケーションが取れるのもメリットのひとつです。コンサートや社交ダンス鑑賞、ヨガや体操、また実際にクイズに参加するなどのレクリエーションが人気です。

オンラインレクリエーションを取り入れることで、実際に講師やボランティアの方を呼ぶことによる感染リスクが軽減されます。

オンラインレクリエーションを通して他者とのコミュニケーション力が向上することを我々も期待しています。初対面の人と笑いあったり、時には討論をすることで脳が活性化され、ADLやQOLの向上にも繋がるのではないかと考えられています。

安全に楽しんでもらえるレクリエーションが提供できるとあって、近年ではオンラインレクリエーションを外部に依頼するホームが増えています。

また、オンラインレクリエーションを提供する企業も増えてきていますので、老人ホームにおいてこれから活用の幅がどんどん広がっていくことが期待されます。

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