家でも学校でもない、カタリバという第三の居場所

公開日: 2023年11月01日

更新日: 2023年11月01日

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「経済的な困窮の中で希望を見出せない」「災害で何もかも失ってしまった」「将来どうなりたいのかわからない」――。そんな困難を抱える子どもたちが学ぶ意欲を取り戻し、大人になることが楽しみだと思えるように伴走を続ける、認定特定非営利活動法人カタリバ。社会課題の変化に順応した取り組みの根幹には、発足時から変わらぬ教育への想いがありました。

カタリバの活動について教えてください。

どんな環境にいる子どもも未来への希望をもてるよう、教育支援を行っています。活動範囲は多岐にわたり、貧困など家庭環境になんらかの事情がある子どものための居場所づくりや食事の支援、学校や教育機関と連携した探究的な学びの提供から、緊急時の災害支援まで様々です。一貫性のないように思われるかもしれませんが、人と人のつながりの中で子どもたちが安心して成長できるようサポートすることが我々の役割だと思っています。

この夏は物価高騰もあいまって、酷暑の中でも家ではエアコンをつけることができず、1日の大半をカタリバで過ごすような子どももいました。カタリバにやってくる子どもたちは、乾いた植物のように少しの衝撃でポキッと折れてしまいそうな繊細さを持ち合わせています。私たちはカタリバを通して、植物が水や栄養を得てすくすく成長するように、子どもたちが根底にもっている生きる力や学ぶ意欲を呼び戻せるよう、精一杯サポートしています。

現在は6つの施設を運営しているほか、北海道から沖縄まで、日本中の子どもたちとオンラインでつながっています。

新型コロナウイルス感染症の影響はありましたか?

2001年の発足以降、カタリバでは対面でコミュニケーションをとることを大切にしてきました。しかし、コロナ禍で施設の運営も縮小せざるを得ない状況の中で、学校が一斉休校となる可能性が出た頃には、全国からパソコンを収集してオンラインでつながりがもてるよう準備を開始。今では北海道から沖縄の離島まで、助けを必要とする子どもたちにパソコンの支給、Wi-Fi等のネット環境の提供を行い日々関わり合っています。これまでは、設備や人員配置の問題からも、地方に拠点をつくることは容易ではありませんでしたが、コロナ禍によってオンラインでのつながりは一気に広まりました。

そこで分かったのは、子どもたちと打ち解けるまでの時間は、対面でもオンラインでもさほど変わらないということです。そもそも子どもたち、特に中高生はそう簡単には心を開いてくれません。対面にしてもオンラインにしても、一人ひとりと向き合って伴走することを大切にしています。

カタリバの歴史について教えてください。

もともとカタリバは、2001年に高校訪問を行うところからスタートしました。私も創業時から参加していますが、当時は大学生でした。自分の高校時代に、進路や将来のことをもっと真剣に考えて語り合える場が欲しかったという思いから、関東を中心にいろんな学校へ訪問。50人ほどが車座になって本音の対話をする“語り場”は、カタリバの由来にもなっています。最初のプログラムであるこの高校訪問は、学校という日常の中にカタリバという“非日常”の空間を作ることで、自分の内面と向き合って本当の気持ちを掘り起こすというものでした。

そうした活動を続ける中で、2011年、東日本大震災が起こりました。私たちも力になりたいと被災地に向かったものの、震災後の状況は非日常であり、必要とされているのは安心できる“日常”の空間だということに気が付きました。

震災により、もともと経済的に強くなかった家庭がより貧困になるという状況が起きる中で、被災地の岩手、宮城、福島に新たな拠点を設置。毎日放課後に子どもたちが集まれる居場所をつくりました。さらに、そうした“貧困の深刻化”は被災地に限った話ではなかったため、都内にも拠点をつくり、活動の強化を図りました。

現在は経済的な困窮にスポットをあてた日常支援と、非常時の災害支援の両方を行っています。

カタリバに寄付をした場合、どのようなことに使われますか?

用途は多岐にわたりますが、具体的には毎日の食事、勉強サポートにかかる費用であったり、オンライン環境を整えるための機材、通信費にも使わせていただいています。また、英検などの資格を無料で受けられるようなサポートも行っており、その資金にもなっております。

カタリバへの寄付でできること

たとえば…

  • 5,000円で生徒1人に1か月間、授業を届けられます。
  • 10,000円で生徒2人に1か月間、食事を提供できます。
  • 200,000円で生徒6人に3か月間、受験勉強のための学習支援が届けられます。

カタリバを利用する子どもたちの声

通い始めた頃は家にも学校にも居場所が無く毎日"生きる" ことがすごく辛かったです。そんな私ですが今では毎日が充実していて 心から生きるということを楽しめるようになりました。
こう思えるようになったのはスタッフの皆さんのおかげだと思います。
『「ただいま」「おかえり」が言えるようなあったかい食堂を皆の居場所をつくる』これが私の一生の夢になりました。

私の家は母子家庭です。お母さんは昼間の仕事と夜勤を掛け持ちしているので忙しく、ほとんど家にいません。

学校から帰ったら、まず家事をしますが、すると疲れてしまって、勉強が手につかないこともありました。

そんなときカタリバの放課後学校に行くことになりました。
お兄さんやお姉さんが、自分の悩みを聞いてれ、夢も応援してくれました。

放課後学校では、お兄さんやお姉さんが作ってくれた温かいご飯も食べれます。
一緒に通う友だちと、楽しくおしゃべりしながら食べていました。
「1人じゃない」って思うと、嬉しかったです。

今は、大好きな英語をがんばって、いつか海外で活躍したいです。

東日本大震災で、故郷の街が一夜にして消えてしまいました。
家も、ノートも、思い出の写真も流されました。

そんなときカタリバの居場所施設ができました。
せまい仮設住宅で勉強する場所もなかったけれど、カタリバに行けば、友だちと勉強をしたり、おしゃべりしたりすることができました。

何より、別の町からやってきたスタッフの人たちが、色んな進路や生き方があることを教えてくれました。
そのおかげで奨学金を得て、大学に進学することができました。

「私も、故郷の後輩たちの夢を応援したい」。
そう思い、カタリバのスタッフとして、2021年4月、働き始めました。
これまでいただいたたくさんの人からの応援を、これから恩返ししていきたいです。

これまで活動を続けられてきた中で、もっと知ってほしいと感じること、伝えたいことはありますか?

子どもの教育支援というのは一朝一夕で完結するものではなく、長い時間が必要なものです。実際にカタリバに来る子どもたちは、平均して6年程度をカタリバで過ごしています。カタリバで居場所を見つけた子どもたちが、大人になってまた顔を見せてくれたり、ボランティアスタッフとして手伝ってくれたり、時には仕事の悩みを相談してくれたり、そうした成長の過程をずっと見届けることができるのは大きな喜びです。

私たちカタリバは、大学進学を目指している団体ではありません。子どもたちの生き抜く力を育てることを目的とし、子どもたちが安心できる居場所をつくり、その中で生まれる人のつながりを大切にしています。ひとりでは困難に立ち向かうことが難しくても、周りがバックアップすることで、子どもたちの根底にある“生きる強さ”を回復させる――。そんな場所を提供し続けられるように、これからも活動を続けていきます。

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身元保証相談士協会®まで

相談員が、お客様が老後のご不安・お悩みの相談をお受けいたします。

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