すべての犬の幸せな未来のために、保護犬と新たな家族をつなぐプロジェクト
公開日: 2023年07月20日
更新日: 2023年09月27日
- くらし全般

進藤
- こんにちは、いきわく編集部の進藤です。
今回は特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンのピースワンコ・ジャパン プロジェクトで遺贈寄付ご相談係を務めている榛田様にお話を伺いました。よろしくお願いいたします。 榛田さん
- ピースワンコ・ジャパン プロジェクト、遺贈寄付ご相談係の榛田と申します。今日は湘南譲渡センターまでお越しくださり、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ピースワンコ・ジャパンの活動とは?
進藤
- ピースワンコ・ジャパン プロジェクトでは、具体的にどのような活動を行っているのですか?
榛田さん
- ピースワンコ・ジャパンは2012年に広島県で発足したプロジェクトで、日本国内での犬の殺処分ゼロを目指して活動しています。これまでの活動で、7,000頭以上の犬の命を救ってきました。
進藤
- 殺処分の対象となってしまった犬たちを保護しているのですね。
榛田さん
- そうです。保護したうえで、愛情をこめて育てながら新たな家族を探す活動をしています。全国で最も犬猫の殺処分数が多かった広島県で2016年から7年以上にわたって県の殺処分機は停止した状態です。広島を含め、ここ湘南など全国8か所にシェルターと譲渡センターがあります。
進藤
- 保護活動の流れを教えてください。
榛田さん
- 広島県の保護犬には野犬が多いのですが、まずは獣医師による健康管理を行い、子犬など一部の犬を除いて避妊去勢手術を行います。新しい家族の元へ旅立つ譲渡までの間、それぞれの犬のペースに合わせて人に慣れるためのトレーニングを行い、時間と愛情をかけて信頼関係を築きます。
進藤
- 保護犬たちは、シェルターや譲渡センターでどのように過ごしているのですか?
榛田さん
- シェルターや譲渡センターなどによって異なりますが、ここ湘南譲渡センターでは、スタッフが毎日1頭ずつ、1日に4回の散歩をしています。湘南譲渡センターの周りは車や人通りが多く、比較的賑やかですので、犬たちにもそうした環境に早く慣れてもらいたいという思いがあります。
保護したばかりの犬は、音に敏感だったり、おびえてしまう子がほとんどです。散歩をする中で騒音に慣れることで、新しい家族と出会ったときにもスムーズに溶け込むことができる可能性が高くなります。 進藤
- やはり、保護したばかりの犬はおびえてしまう子が多いのですね。
榛田さん
- そうなんです。ただ、例外もいて、このカカオはとても人懐こい性格です。外に出ると、車などの音に驚いてしまうことはまだありますが、初対面の人のところにも喜んで寄っていきます。
進藤
- 本当に、人懐こくてとてもかわいいですね!

近年多くの関心が寄せられている遺贈寄付
進藤
- 遺贈寄付ご相談係の榛田さんの元には、どのようなご相談が寄せられていますか?
榛田さん
- 近年遺贈寄付への関心が高まり、ご自身の生きた証として、応援したい団体への寄付を検討される方が増えています。私たちも、身寄りのない犬好きの方から「遺産を保護犬のために使ってほしい」というお声をいただいたり、「自分に万一のことがあったとき、今一緒に暮らしているペットをどうしようか」というご相談を受けることがあります。そうしたお声を受け、亡くなった方からのご寄付とともに、大切な愛犬の受け入れもご相談におのりしています。
進藤
- 愛犬の受け入れも行っていらっしゃるのですね。
榛田さん
- そうです。ただ、無条件にご要望に応えられるというわけではありません。ワンコたちの命にもかかわることですので、愛犬の受け入れについては、必ず事前にご相談をお願いします。
進藤
- 遺贈寄付者のご逝去時には、どのような手順で愛犬を預かっていただけるのですか?
榛田さん
- 遺贈寄付とともに愛犬引き渡しをご希望される方には、事前に「愛犬ご登録シート」のご提出をお願いしています。大切に育ててこられた愛犬の基本情報や、性格の特徴、既往歴、注意点などを事前に共有いただいて、受け入れの準備を行います。
基本的には亡くなられたあとに受け入れをさせていただくのですが、飼い主である遺贈寄付者の方が認知症や余命宣告を受けて入院される場合などには、生前に愛犬受け入れの対応ができる場合もありますのでご相談ください。
すべての犬を受け入れられるわけではありませんので、実際に愛犬の受け入れができなかった場合には、ご遺贈を辞退させていただきます。
ピースワンコ・ジャパンへの遺贈寄付
進藤
- ピースワンコ・ジャパンへの寄付は、どのようなことに使われるのでしょうか?
榛田さん
- 現在(2023年2月28日時点)、ピースワンコ・ジャパンで保護している犬は約2,600頭、そのお世話をするスタッフは130名います。活動を続けるためにかかる費用は、年間約12億円にもなるのです(2021年度)。
フィラリア検査、ワクチンなどの基本的な処置費用で約7万円。他にも、フード代や人件費、シェルター維持費、その他運営費用が継続的に必要なため、犬1頭あたりにすると年間約45万円の費用がかかっています。いただいたご遺贈は、ピースワンコ・ジャパンの活動を続けるために大切に使わせていただきます。 進藤
- 活動を続けるためにかかる経費がそんなにあるのですね。
榛田さん
- そうなんです。ピースワンコ・ジャパンの活動は、皆様の温かなご寄付によって支えられています。

“老犬ホーム”との違い
進藤
- 「老犬ホーム」とはどのような違いがありますか?
榛田さん
- ピースワンコ・ジャパンが行っているのは、日本国内の殺処分ゼロを目指す活動です。通常、保護する対象は、あくまで行政で殺処分対象となった犬となります。終生飼養を前提とした老犬ホームのサービスとは異なることをご理解ください。
ご遺贈と同時に愛犬をお引き受けした場合も、他の保護犬と同じように新しい家族を探すことになります。もちろん、新しい家族が見つからなかった時には、当団体で最後まで愛情をもってお世話しますのでご安心ください。 進藤
- 愛犬を含めてピースワンコ・ジャパンへ遺贈をするうえで、注意すべきことがあれば教えてください。
榛田さん
- 愛犬については、ただ遺言書を遺すだけでは、遺言書が開封されるまでに時間がかかり、その間に放置されて健康状態が悪くなってしまう可能性があります。また、所有権を主張される方が別に現れた場合には、当団体で受け入れることができないという事態になりかねません。専門的な知識や事前の準備とご相談が不可欠となっています。ぜひ専門家の方に依頼されて、弊団体までご相談いただければ幸いです。
すべての犬が幸せに暮らせるように
進藤
- 最後に、寄付を検討されている方々へのメッセージをお願いします。
榛田さん
- 3年ほど前から遺贈寄付の担当者として関わっていますが、「日本国内の殺処分ゼロ」というのは、決して非現実的な目標ではありません。すべての犬と、新たな家族や関わる人々の幸せな未来をつくることを目指す当団体の活動を、ぜひ応援していただきたいです。殺処分のない、動物と人の共生する未来を望む皆様の想いを、どうかピースワンコ・ジャパン プロジェクトに託していただければ幸いです。
また、様々な「終活」のお悩みがあるかと思いますが、愛犬の受け入れについては、専門家の皆様にも協力していただくことで、お役に立てる可能性もあるかと思います。まずはお気軽にご相談ください。
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