入院できない!?身寄りのないご高齢者が準備すべき入院対策をご紹介!
公開日: 2025年04月21日
更新日: 2025年04月21日
- 身元保証

万が一のけがや病気で入院が必要になったとき、必要となるのが「身元保証人」。
入院中の支援や医療の同意、入院費の支払い保証など、入院時にはさまざまな場面で身元保証人が求められますが、身寄りがないご高齢者にとって、入院時の身元保証人の確保は大きな壁になっています。
身寄りがないと、入院はできないのでしょうか。こちらでは、なぜ入院時に身元保証人が必要なのかをご説明したうえで、身寄りがないご高齢者が備えておくべき対処法をご紹介いたします。
身寄りがいない方の入院時における保証人の種類
入院時に必要となる身元保証人ですが、身元保証人と混同しやすいものとして、身元引受人や連帯保証人があります。
病院によってはこれらを同じ意味合いで捉えている場合もありますが、それぞれの役目について確認しておきましょう。
身元保証人
身元保証人は、入院・退院時の手続きの代行、入院中の定期的な見守り、緊急時の駆けつけ対応、ご本人の意識の低下時に本人の希望する医療方針を提示するなど、まさに家族のように継続的にサポートする存在です。
身元引受人
身元引受人の主な役目は、ご本人がお亡くなりになった時のご遺体の引き受けです。死亡確認に立会い、死亡診断書を受領し、ご遺体を引き受けた後は、退院手続きを行います。
連帯保証人
連帯保証人には、入院費用の支払いについて責任が生じます。入院中のご本人だけでは入院費用の負担ができなくなったときは、連帯保証人が費用を支払わなければなりません。民法上、連帯保証人には主債務者による損害をすべて賠償する責任があるとされています。
このように、身元引受人や連帯保証人はその役目が限定的ですが、身元保証人はさまざまな場面できめ細かな支援が継続的に求められる存在といえるでしょう。
入院時の身元保証人は、身元引受人や連帯保証人の役目も担うケースが多いです。
身寄りがない方の入院時に病院が身元保証人に求めることとは

それでは、具体的にどのような場面で身元保証人に対応が求められるのでしょうか。特に身寄りがないご高齢者が入院する場合には、以下の理由から、身元保証人の存在が大変重要であるとされています。
入院前の説明
病院には、入院前にご本人やご家族に対して治療説明を書面にて行う義務があります。身寄りがなく、ご本人以外に説明を受けるご家族がいない場合には、身元保証人がご本人と一緒に説明を受ける必要があります。
入院中の必要品の買い出し
入院時や手術などで必要となる物品は、ご本人では用意しきれないことも多々ありますし、入院生活が長引くと、日用品の買い足しも必要となります。
病院によってはお買い物サービスの提供もありますが、日々の細々した買い物は病院では対応しきれないこともあるため、身元保証人に頼むことになるでしょう。
入院中の治療方針の説明
入院中に治療方針の説明を受けることもありますが、ご高齢者の場合は意識状態や判断能力が低下し、ご本人だけへの説明では理解が難しいケースもあります。
ご本人の理解を深め、安心して治療を受けるためにも、治療方針の説明時には身元保証人に同席してもらうことが大切です。
医療行為の提示
医療行為への同意は本来ご本人のみに認められているものですが、ご本人の意識レベルが低下し、意思の疎通が困難となった場合は、ご家族がその役目を担うことが一般的です。
身寄りがなく、ご家族以外の人が身元保証人となっている場合には、身元保証人が対応するしかありません。ご本人の希望に沿った医療を受けるためにも、あらかじめ「医療・介護に関する、いざという時の意思表示宣言」を公正証書にて作成するなど対策をしておきましょう。
緊急時の連絡先
ご本人の病状が悪化するなどの緊急時には、緊急連絡先である身元保証人に連絡が入ります。状況によっては深夜の駆けつけが必要となる場合や、呼び出しが頻繁に発生する場合もあります。
入院費用の連帯保証
入院が長引き、ご本人の経済状況では入院費用の支払いが困難になってしまうと、病院にとって大きな損失となってしまいます。
身元保証人は連帯保証人として支払いを肩代わりする責任があるため、病院にとって不可欠の存在といえます。
退院時の手続き
ご本人が退院する際には、費用の精算などの事務手続きが発生します。身寄りがない場合には、退院時の付き添いや手続きも身元保証人に対応してもらう必要があります。
死亡時の身元引き取り
入院中にご本人がお亡くなりになった場合は、ご遺体を引き取る人が必要となります。身寄りがない方の場合は、身元保証人が死亡診断書を受領し、ご遺体を引き取ります。
このように、身寄りがない方が入院する場合には、数多くの場面で身元保証人による対応が求められます。
医師法19条1項には、「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とされているため、身元保証人の不在のみを理由として、入院を拒むことはできません。
しかしながら、身元保証人がいなければさまざまな場面で病院側に多大な負担が生じてしまいます。事実として、病院の未収金の増加は大きな問題となっています。
病院を安定して運営するためにも、病院側は入院時の身元保証人を必要としています。
身寄りのない方が入院することになった場合の対処法

入院時から退院・ご逝去時まで対応が求められる身元保証人ですが、大きな責任が伴うため、身近なご友人等に気軽に頼めるものではありません。また、ご友人が一旦は引き受けてくれたとしても、その責任の重さから、途中で辞退されてしまうケースもあるのが実情です。
身寄りがない方に入院が必要となった際の対処法をご紹介しますので、あらかじめ対策を講じておきましょう。
身元保証サービスを利用する
少子高齢化や核家族化の進行に伴い、身元保証サービスを提供する事業者も増えつつあります。個人的に引き受けるには荷が重い身元保証人も、法人として身元保証サービスを提供する事業者であれば、最後まで責任をもって対応してくれることでしょう。
身元保証事業者によってサポートの範囲や料金も異なるため、事前に契約内容をしっかりと確認することが大切です。
2024年6月には、ご高齢者が安心して身元保証サービスを利用できるよう、身元保証事業者の健全な事業運営方針を示した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が、内閣府より発表されました。
身元保証サービスを利用する際は、この高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを順守し、健全に運営する身元保証事業者を選ぶことをおすすめいたします。
成年後見制度を利用する
成年後見制度とは、認知症や精神病などの理由により判断能力が低下した人を保護するために、「成年後見人」という代理人を選任してもらい、成年後見人がご本人の身上監護・財産管理・法律行為を担う制度です。
病院によっては、身寄りがなく身元保証人が確保できないご高齢者に限り、成年後見人が身元保証人となることを認めてくれるケースもあります。
注意!成年後見人は身元保証人にはなれないのが大原則
成年後見人は、あくまでも「ご本人の代理人」であり、いうなればご本人そのものという立場です。ご本人が自分自身の保証人になれないのと同様に、成年後見人もご本人の身元保証人になることはできないことが大原則です。
先ほどお伝えしたように、病院の判断により成年後見人を身元保証人として認められることもありますが、それはやむを得ない事情がある場合に限られる特殊なケースだということを理解しておきましょう。
身元保証人が不要の病院に入院する
病院によっては、身元保証人を立てる代わりに、クレジットカード決済や入院保証金などの代替手段を用いて入院できる場合もあります。
ただし、このような病院は限られており、お住まいの地域にはない場合や、あったとしても満床で入院できない場合も考えられます。また、ご本人の病状次第では入院先を選ぶことができないこともあり、希望どおりの病院に入院できるとは限りません。
地域包括支援センターへ相談
地域包括支援センターとは、市区町村が設置している総合相談窓口で、身元保証等高齢者サポート事業に関する相談にも対応しています。ご本人のご状況に応じて助言を受けることができますので、まずは相談してみるのも一つの手です。
病院の医療ソーシャルワーカーへ相談
医療ソーシャルワーカーとは、入院患者の社会的問題の解決をサポートする専門家のことです。
身寄りがないご高齢者の支払い能力やご状況はさまざまです。医療ソーシャルワーカーは、患者一人ひとりの状況を整理し、患者と病院の間に立って交渉を進めてくれます。
医療ソーシャルワーカーは身寄りがないご高齢者にとって心強い存在ではありますが、すべての病院に医療ソーシャルワーカーがいるとは限らないのでご注意ください。
急な入院に備えたい身寄りがいない方は身元保証人を頼める団体に依頼するのがおすすめ
誰しも、突然のけがや病気で急遽入院が必要となる可能性があります。今はお元気な方でも、将来への備えとして身元保証人の確保について考えておくことはとても大切です。
身元保証人は、「入院申込書の身元保証人の欄に名前を書くだけなのだから、誰でもよい」というものではありません。特に身寄りがないご高齢者にとって、入院時に家族のように寄り添いサポートしてくれる身元保証人は不可欠な存在ですので、安易に身元保証人を選ぶことなく、安心して任せられる人を選ぶようにしましょう。
身元保証人を頼める人がおらずお困りの方は、身元保証会社に相談されることをおすすめいたします。
身元保証相談士協会は、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを順守し健全に運営しております。入院時の身元保証はもちろんのこと、日々の暮らしを見守り、ご高齢者の皆様が安心してお過ごしいただけるようお支えいたしますので、どうぞ安心してお任せください。
身元保証相談士協会では、身元保証人についてお困りの方へ初回無料の相談の場をご用意しております。身元保証のプロが丁寧に対応いたしますので、身元保証サービスについてのご不安やご質問がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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