老人ホームの入居には身元保証人が必要?頼める人がいないときは?

公開日: 2025年01月16日

更新日: 2025年01月16日

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高齢化が進む日本では、安全で快適な暮らしを提供してくれる“終の棲家”として老人ホームを選択する人が増えています。特にお独り暮らしの方や身近に手助けしてくれるご家族がいない方にとって、施設の方が見守ってくれる環境は安心で心強いしょう。しかしいざ「入居したい!」と思ったときに悩ましいのが誰に身元保証人を頼むかという問題です。

老人ホーム入居時に施設側から求められる身元保証人。どのような役割を担うために必要なのが具体的に知っている方は意外と少ないかもしれません。

こちらでは身元保証人のお仕事や、施設側が求める条件などをご説明いたします。老人ホームの入居をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

老人ホームへの入居時に必要な身元保証人とは

そもそも老人ホームに入居する際になぜ身元保証人が必要になるのでしょうか?

一番に考えられるのが、何か起こったときに老人ホーム側が対応に困ってしまうということです。施設側の事情…といってしまえばその通りなのですが、ご高齢の方の生活を支えるというのは数々の判断やリスクを伴います。

例えば、老人ホームにご入居されている方が急きょ入院することになった際、施設の職員が病院に同行することは出来ても、医療同意を行ったり、生命にかかわる判断をしなければならなかったりするのは非常に難しく、余計な責任を背負うことになります。後々相続人から「なんで勝手に判断したのだ!」と責め立てられる恐れも…。

また、老人ホームも完全な慈善事業ではないため、健全な運営を行うためにも入居者には施設の利用費を支払ってもらう必要があります。その支払いが滞った時に本人に支払い能力がなかったり、意思疎通がうまく取れない状態だったりすると、施設側が負担を強いられることになりかねません。

このようなリスクを避けるためにも老人ホーム側としては「入居時には身元保証人のサインをお願いします」と求めてくるのが一般的です。

また上記のような特別な場合でなくても、ご高齢の方が生活するにあたって、日常のお金の管理本人の健康状態の確認などを担い、施設側がいつでも相談できる連絡先は最低限必要でしょう。

なお、入居時の書類によっては身元保証人ではなく身元引受人と書いてある場合があります。

身元保証人は本人に代わっての債務の支払いや意思決定の役割を、身元引受人は亡くなった後の身柄引き受けの役割を指すことが多いとされていますが、両者に明確な線引きがあるわけではないので、同等の立場であると考えた方がよいでしょう。

身元保証人に求められる役割とは?

「とりあえず急いで老人ホームに入居したいから身近な人にサインだけでも頼みたい!」希望の老人ホームに空きがでたのに身元保証人がいない状況だと焦ってそのように考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、本当に身元保証人とは入居時に身元保証人欄にサインをすればいいだけの人でしょうか?
もちろん老人ホーム側はそのようには考えていません。「何か問題が生じたときには身元保証人に対応してもらう」つもりで、施設側は入居時に身元保証人を確認しているのです。

具体的に身元保証人に求められる役割は以下の通りです。

  • 老人ホームからの連絡対応(緊急時も含む)
  • 入居者のお金の管理、小口の補充
  • 本人が施設費用を滞納した場合の支払いを保証する
  • 医療や介護の方針の決定、薬の確認
  • 本人が亡くなった後の身柄の引き受け 等

入居者本人の日々の生活サポートは老人ホームにお任せできても、本人の生活に問題がないかの確認、医療のことなど重要な判断や支払いの責任などとは身元保証人の役割です。

ご家族はともかくとして、ちょっと親しい知人などに気楽に頼むには責任が重すぎる…と言えるかもしれません。

身元保証人になれる人はどんな人?

では、具体的にどのような人に身元保証人を頼むのがよいのでしょうか。身元保証人の条件に明確な法律はありませんが、老人ホーム側が求める条件をまとめると「十分な資産を保有している人」や「年齢が高すぎない人」などがあげられます。

身元保証人には連帯保証人の側面もあるため、「十分な資金を保有している人」というのは納得の内容です。意外と条件として難しいのが「年齢が高すぎない人」かもしれません。

老人ホームによっては年の近い兄弟姉妹や、配偶者の身元保証人はお断りしているというケースも。夫婦で入居するからお互いが身元保証人になればよいよねと考えていても、別に若い人を立ててくださいと施設側に言われてしまうこともあるようです。

また長い間老人ホームで生活していると、入居時に署名した身元保証人が役割を担えなくなる場合もあるでしょう。そのような場合は、身元保証人の変更を検討する必要があります。

身元保証人を頼める人がいない場合はどうする?

おひとり様やご家族が身近にいない方、ご家族もご高齢で身元保証人を頼めない方は老人ホームの入居を諦めなければならない…わけではありません。ご自身の身近に身元保証人を頼める人がいなくても対応できる方法があります

1.身元保証人が不要な老人ホームを探す

施設入居時に身元保証人を立てることは法律で定められているわけでは無いため、身元保証人不要で入居できる老人ホームも存在します。

しかし8割以上の施設で身元保証人を求めているのが現状です。そもそも身元保証人不要の施設は数が少ないため、タイミングよく空きがある施設を見つけるのが難しかったり、理想の環境ではなかったりすることも考えられます。

2.身元保証会社に依頼する

身元保証人を個人ではなく、民間の身元保証会社に依頼する方法です。
社会的にも身寄りのない方が増えているのは問題視されており、民間団体による身元保証を行う会社が複数立ち上がっています。

身元保証人を個人ではなく法人に頼むことになるので、身元保証人の事情に左右されることなく、最期まで任せられるのも利点といえるでしょう。
身元保証会社によって身元保証の仕組みやサービスの内容が異なるため、契約内容に不安な点がないか等をしっかりと確認して納得してから契約するようにしましょう

ご自身で身元保証人が見つけられない場合でも、上記の方法により無事老人ホームに入居して楽しく過ごされている方もたくさんいらっしゃいます。身元保証人で悩んでいる方はぜひご参考にしてみてください。

老人ホームの入居時にはしっかりと身元保証人を選ぼう

老人ホームの入居時に求められる身元保証人は、今後のご自身の生活に深いかかわりをもつ重要な立場の人になります。とりあえずサインだけでも…と安易にお願いしてしまうと、のちのち面倒なことになる可能性もあるので慎重に選びましょう

ご自身で身元保証人を探すのが難しい方は、身元保証会社にサービス内容を問い合わせてみるのもおすすめです。ご自身の今後の人生にどのようなサポートが必要なのかが明確になると、選択すべきことが見えてくるかもしれません。

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