施設への入所には身元保証人が必要?身元保証人がいない場合の対処法
公開日: 2025年02月19日
更新日: 2025年02月19日
- 介護・高齢者施設
- 身元保証
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社会の変化から生涯独身の方が増えたことに加え、核家族化も進み、家族や親族と疎遠となる方が増えています。
こういった方々は、日常生活におけるあらゆる場面において、身元保証人を頼める人がいないという「身元保証人問題」に直面しています。
なかでも、おひとりで暮らしていらっしゃるご高齢者は将来の不安から施設に移り、終の棲家にしたいとお考えになる方が少なくありません。
しかしながらこのような状況であるにもかかわらず、多くの高齢者施設では、施設に入所する際の契約時に「身元保証人」を要求しています。
こちらでは、ご高齢者の身近な問題のひとつである「施設入所時の身元保証人問題」について解説していきたいと思います。
施設入所したいのに身元保証人がいない場合の対処法
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以下において身元保証人がいない場合でも施設入所できる方法をご紹介します。
なお、2024年6月より、「身元保証等サービス」、「死後事務サービス」、「日常生活支援サービス」等を利用される方々の事業者判断の目安となり得る「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が政府より公表されていますのでご活用ください。
身元保証人が不要な施設を探す
多くの施設が身元保証人を求めるなか、施設によっては「身元保証人不要」とするところもあります。
ただし、身元保証人不要とする施設は限られるため、必ずしもご希望に沿った施設に入所できるとは限りません。
また、どうしても身元保証人を頼める人がいない場合は、入所を諦める前に施設側に相談してみましょう。
身元保証会社を利用する
身元保証人は必ずしも家族や親せきが引き受けなければならないという決まりはないため、最近では民間団体による身元保証人代行会社が増えています。
ただし、身元保証人の役割には法律による明確な役割がなく、身元保証の仕組みやサービス内容に関しても明確な基準がありません。
このことから各団体でサービス内容や約束が異なるため注意が必要です。
身元保証人を依頼する側は、身元保証人を請け負う団体の契約内容について正しく理解してから依頼するようにしましょう。
施設入所における身元保証人の役割
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そもそも身元保証人とは何をする人なのでしょうか。
実は身元保証人には明確な役割はありませんが、施設側としては主に「本人に関する意思決定をする人」「施設におけるトラブル対応」「支払い債務の連帯保証」を身元保証人に求めています。
施設側としても身元保証人がいなければ多大なリスクを背負うことになってしまいますので、多くの施設が入所時に身元引受人を求めています。
なお、厚生労働省では「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」を定めています。
そのなかで「病院・介護保険施設が身元保証人等のいないことのみを理由に、入院・入所等を拒む等の取扱いを行うことのないよう措置を講ずること」としています。
以下において施設側が身元保証人に求める役割についてご説明します。
入所時の手続き及び施設内における判断等
従来でしたら、ご家族が行う入所手続きや入所中のあらゆる判断ですが、これらについて身元保証人が対応することも可能です。
死亡時の退所手続きや荷物などの引き取り
退去時のお手続きとご遺体や荷物の引き取りなどをご家族に代わって行います。
支払いの連帯保証
身元保証人が医療費や未払い分の利用料を清算します。
なお、家賃債務保証制度を活用して入所すると連帯保証人は問われません。
家賃債務保証制度は、「所定の要件を満たす人が賃貸住居に入所する場合、高齢者住宅財団が家賃債務を保証することで賃貸住宅への入所をサポートする制度」です。
高齢者住宅財団が連帯保証人のような立場となり、家賃などの債務を保証してくれます。高齢者住宅財団と基本約定などを締結している施設であれば、保証人がいない方でも入所できる可能性があります。
身元保証人・成年後見人の違い
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成年後見人と身元保証人はどちらも「依頼者の代わり」ではありますが、それぞれの役割が大きく異なります。
成年後見人等は本人の代理人であるため、成年後見人等は身元保証人を引き受けることはできません。
まず、それぞれの役割について確認していきましょう。
身元保証人
身元保証人は、入院や施設の入居に関するさまざまな判断や手続きを本人に代わって行う役割を担っています。
具体的には、身元保証の引き受けや、緊急時のかけつけ、財産管理、また治療方針の判断や入院手続きなどが挙げられます。
他にも、本人が亡くなった際の身柄の引き取りや未払債務の精算などといった連帯保証の役割も求められます。
成年後見人
成年後見人等は、認知症の人や精神に障害がある人を保護、支援する法定代理人です。
あらかじめ本人が選任した後見人(任意後見)ないし、家庭裁判所が選任した後見人(法定後見)が本人の代理人となり、法律行為を行いますが、その役割が開始されるのは、本人の判断能力が衰えたと判断されてからになります。
成年後見人等は入居者に代わって法律行為をするだけで、身元保証、身元引受、債務の連帯保証などは行えません。
なぜなら、身元保証人に求められる役割と成年後見人等の役割が利益相反となる場合や、そもそも成年後見人等には権利がないことが多いからです。
以下において、身元保証人に求められる役割と成年後見人等の役割を比較してご説明します。
【身元保証人に求められる役割①】利用料の支払い及びその保証
⇒【成年後見人等】本人の財産管理を行う立場の成年後見人等が身元保証人と同一人物である場合、本人が本人の保証人になるという矛盾が生じるうえ、利益相反となる可能性があります。
【身元保証人に求められる役割②】医療措置に対する医療方針の提示
⇒【成年後見人等】後見人等に医療同意権はないため、医療同意は行えません。
施設入所時に後見人を利用する際の注意点
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後見人の利用が開始されるのは、本人の判断能力が衰えたと判断された場合です。ご本人の判断能力が衰えていない状態では後見人は選任されません。
後見人は身元保証人の代わりにはなれない
後見人は本人の代理人です。入所者の代わりに法律行為を行うことはできますが、身元保証人としての役割のみならず、身元引受人、債務の連帯保証人などについても行うことはできません。
認知機能が低下しないと機能しない
先程触れましたが、成年後見人は、「任意後見人」と「法定後見人」の2種類があり、いずれも「認知症や精神疾患で判断能力が低下した人に代わって契約の締結や財産の管理、各種手続きを行う人」のことを言います。したがって、お元気なうちは成年後見制度を利用することはできません。
身元保証人は重責となることから身元保証人を扱う団体に依頼しましょう
身元保証人の役割には法律による明確な定めがないと先述しました。
実際のところは、明確な定めがないことからむしろ多くの責任が要求されています。
名前を書くだけだからと安易な気持ちで引き受けてしまうと双方の気持ちにズレが生じることになるため、身元保証人を依頼する側、身元保証人となる側とそれぞれの役割について正確に理解しておく必要があります。
このようなことから、身元保証人を依頼する際は、身元保証人を頼める団体に依頼することをおすすめします。
「身元保証相談士協会」では、施設入所時に、ご本人の身元引受人・連帯保証人として署名致します。
また、入所中は、依頼者に何かあった際の駆け付け対応、事前の話し合いに基づく医療方針の決定やあらゆる問題への対応を行います。
依頼者がお亡くなりになった後は、葬儀・供養手配や、行政手続き、光熱費といった身の回りの解約手続き等の死後事務手続きまでしっかりと対応させていただきます。
身元保証人問題にお困りの方はぜひ一度、「身元保証相談士協会」へのご依頼をご検討ください。
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