特養の契約で身元保証人は必要?その役割といない時の対処法についても解説!
公開日: 2025年01月27日
更新日: 2025年01月27日
- 介護・高齢者施設
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特別養護老人ホーム(以下、特養)に入居を希望するご高齢者は年々増加していますが、そのような方にとって大きな問題となっているのが「身元保証人の確保」といわれています。
特養では、入居時に身元保証人を必須としているケースがほとんどです。
しかしながら、身寄りがなく身元保証人を頼める人がいない方、また、身元保証人になってもらえないかと頼まれたものの、その役目を果たす自信がないため身元保証人になりたくないという方も少なくありません。
身元保証人には、日々の生活支援や財産管理、各種費用の連帯保証、逝去時の身元引受など、ご高齢者の本当の家族のように寄り添い支える存在です。その重要性と責任の重さから、身元保証人の手配は介護を必要とするご高齢者の大きな壁となっています。
こちらでは、特養の契約時に求められる身元保証人の役割と、身元保証人を確保できない場合の対処法について解説いたします。
特養に入居を検討しているが身元保証人や身元引受人がいない時の対処法
特養をはじめとして、老人ホームや介護施設は「基本的に身元保証人がいなくても入居を受け付けるもの」と厚生労働省から通達が出ています。
しかしながら、ご高齢の方の生活の場となる老人ホーム、特に特養については主に「要介護3」以上の要介護度が重度の方を対象としている施設です。特養の半数以上は看取りにも対応しており、「終の棲家」として利用される方が多くいらっしゃいます。
身元保証人がいなければ、入居者の病状が急変して入院が必要となった時、誰が入院手続きをするのでしょうか。入居者が亡くなったとき、誰がご遺体を引き取ればよいのでしょうか。
長期にわたって入居していて入居費用がかさんでしまい、入居者では支払いきれなくなった場合、誰が費用を肩代わりしてくれるのでしょうか。
これらすべてを特養の職員が対応するのには限界があります。身元保証人の手配がご高齢の方の大きな負担になることは理解しつつも、入居者の安全を確保し、さらに施設を安定して運営するためにも、身元保証人が必要なのが実情です。
実際に、全国有料老人ホーム協会による老人ホームを対象とした調査では、「入居時に第三者の身元保証人を立てる必要がある」との回答が全体の80%以上にものぼりました。
身元保証人や身元引受人サービスを扱う団体に依頼する
身元保証人の手配が困難なご高齢者の増加に伴い、身元保証人や身元引受人の代行サービスを提供する団体や身元保証会社も増えてきています。
個人ではなく団体による身元保証人も受け付け可としている老人ホームがほとんどですので、個人に身元保証人を頼めない方は、身元保証団体による身元保証サービスをご検討ください。
入居者の財産管理、入居費用や医療費等の支払いに関する連帯責任、通院に都度付き添う生活支援など、個人で対応するには負担が大きい内容でも、身元保証を専門とする団体なら責任をもって対応してくれることでしょう。
提供する身元保証のサポート内容や料金体系は身元保証団体ごとに異なります。サポート内容が手厚く充実している身元保証団体もありますので、サービス利用の前に契約内容をしっかりと確認することが大切です。
なお、2024年6月に消費庁より高齢者等終身サポート事業者ガイドラインが公表されました。このガイドラインは、身元保証会社が適切で健全に事業運営することを目的に策定されたものですが、利用者側としても、よりよい身元保証会社の選定に活用できます。
このガイドラインを参考に、安心で信頼のおける身元保証会社を選びましょう。
身元保証人や身元引受人が不要な介護施設を探す
特養は公的な介護施設であり、福祉的観点から、身元保証人が立てられないご高齢者であっても受け入れられるよう取り組んでいる施設も、少ないながら存在します。しかしながら、入居を希望するご高齢者は多数いるため、数少ない枠を手にするのは相当厳しいものです。
また、「身元保証人がいない方もご相談ください」とうたっていながら、実際には施設が連携する身元保証会社と契約させ、身元保証人を立てることが入居の条件となっているケースもあります。
入居費用に加えて身元保証に関する費用もかかるほか、ご自身で身元保証会社を選ぶことができないことから、ご意向に沿う身元保証サービスが受けられない恐れもあるため注意が必要です。
成年後見制度では身元保証人を確保できないので注意
認知症等で判断能力が低下したため、成年後見制度を利用している方もいらっしゃるかもしれません。この制度により選任された成年後見人は、ご本人に代わって法律行為や財産管理、身上監護などを行いますが、実際の介護や身元保証については対応外となっています。
成年後見人はご本人の代理人という立場であり、言い換えればご本人そのものということになります。ご本人が自分自身の保証人になることは不可能です。これと同様に、成年後見人もご本人の保証人になることはできません。
特養に入居するためには、原則として成年後見人とは別に身元保証人を手配する必要があります。
身元保証人・身元引受人・連帯保証人・成年後見人の違い
特養への入居時や入院時に必要となる身元保証人ですが、一口に身元保証人といっても、施設や病院ごとに身元保証人に求める内容が少しずつ異なるケースがあります。
身元保証人と似たようなものとして、身元引受人や連帯保証人、成年後見人という言葉が使われることもありますので、違いがよくわからないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは身元保証人・身元引受人・連帯保証人・成年後見人のそれぞれの役目をご紹介いたします。
身元保証人
特養に入居されている方の定期的な見守り、手続きの代行、金銭管理、緊急時の駆けつけ対応のほか、本人の意識が低下した時などに医療方針やケアプランに同意するなど、本当の家族のように継続的なサポートを行うのが身元保証人の役目です。
身元引受人
身元引受人は、亡くなった方の身柄を引き受ける責任をもつ人を指します。特養では終身利用可としている施設も多いため、入居者が亡くなった際は身元引受人による対応が必要です。
死亡診断に立会い、ご遺体を引き取るだけでなく、施設の退去手続き、遺品の受け取りなどに対応します。
連帯保証人
連帯保証人は、入居者が入居費用等の支払いができなくなった時に、ご本人に代わって費用を支払う責任があります。
成年後見人
成年後見人は、認知症等で判断能力が低下し、契約等をおひとりで行うことが困難となった場合に、ご本人に代わって財産管理や身上監護、法律行為などを行う人です。
成年後見人が効力を発揮するのは、ご本人の判断能力が低下した後ですので、ご本人の意思がはっきりとしている間は代理人として対応することができません。
特養における身元保証人や身元引受人の条件と役割
身元保証人は、特養に入居されている方にとって不可欠な存在です。以下に挙げるようなあらゆる場面で迅速かつ適切に対応しなければならないため、重い責任が伴います。
緊急時の駆けつけ対応
身元保証人は緊急連絡先でもあるため、入居者の病状が悪化するなどして急遽入院が必要になった時や、入居者同士でのトラブルが発生した時などは、身元保証人に連絡が入ります。
深夜に駆けつけ対応が必要になるケースや、頻繁に呼び出される場合もありますので、遠方にお住まいの方では対応しきれない可能性もあるでしょう。
料金支払いが滞納した際の弁済
特養は介護保険サービスの適用対象のため、他の施設と比較すると費用が安く抑えられるものの、入居期間が長引くと預貯金が底を尽きてしまい、入居者本人では費用が支払えなくなってしまうこともあるでしょう。
そのような場合、身元保証人は連帯保証人として費用を肩代わりしなければなりません。それゆえ、特養の入居前に、身元保証人となる人に支払い能力が十分であるかどうか、事前審査が行われるケースもあります。
入院手続きや治療の意思決定
入院の付き添い、手続きの代行、医師からの病状説明などの対応も身元保証人が行います。ご本人と意思疎通ができないときは、ご本人に代わり身元保証人が医療への同意などに対応する必要があります。
死亡時の手続き
特養の入居者が逝去した際には、身元保証人が身元引受人の役目も担います。
万が一身元保証人が入居者よりも先に死亡してしまうと、入居者の身元を引き受けてくれる人がいなくなってしまいます。そのような事態を避けるためにも、身元保証人はご高齢の方ではなく入居者よりもお若い方が望ましいでしょう。
このように、特養の入居者に何かあった時は身元保証人が迅速に対応しなければなりません。それゆえ、遠方にお住まいの方やご高齢の方、無職の方には対応が難しいと考えられます。
特養に入居したいがために、身元保証人の欄に勝手に誰かの名前を記入してしまったり、とりあえず名前だけ書けばいいと思って身元保証人を適当に選んだりすることはリスクが非常に高いといえます。
後になってトラブルに発展してしまう恐れもありますので、身元保証人は慎重に選ぶようにしましょう。
身元保証人や身元引受人は多くの責任を負うため身元保証人を頼める団体に依頼するのがおすすめ
特養の入居者が適切かつ安心のサービスを受けるためだけでなく、特養の安定的な運営のためにも、信頼のおける身元保証人を確保することは非常に重要です。
特養に入居を希望しているが身元保証人が手配できないご高齢の方、また、身近な人から身元保証人を頼まれたが、ご本人が望む身元保証人の役目を果たす自身が無いという方は、身元保証会社に依頼することをおすすめいたします。
身元保証会社に依頼する際は、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインにのっとり、健全に運営している身元保証会社を選ぶようにしましょう。
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