【現役弁護士インタビュー】身元保証に関する裁判事例
公開日: 2024年12月12日
更新日: 2025年01月18日
- 身元保証
- 七瀬さん
- 皆さんこんにちは。いきわくチャンネル広報部の七瀬です。
本日は弁護士法人オーセンス法律事務所の堅田先生をお招きし、身元保証に関する裁判事例について解説いただきたいと思います。
本日はよろしくお願いいたします。
- 堅田先生
- 弁護士法人オーセンス法律事務所の弁護士堅田と申します。よろしくお願いいたします。
身元保証に関する裁判事例
- 七瀬さん
- それでは早速、身元保証に関する裁判事例について解説をお願いいたします。
- 堅田先生
- 今回、お話しする事案は、身元保証契約とセットで死因贈与契約を結んでいたような事案です。
死因贈与契約というのは「自分が亡くなったときに自分の財産をこの人にあげます」というような契約になります。
今回の事案についてですが、身元保証契約と一緒に、自身が亡くなったら財産を全て団体へ渡すという死因贈与契約をセットで締結していましたが、死因贈与契約自体が公序良俗に反して無効という判決を受けた裁判例になります。
その結果、無効との判決を受けたため、契約を締結していた団体はお金を全くもらえなかったという結論になりました。
- 七瀬さん
- なぜ無効となったのでしょうか。
- 堅田先生
- 死因贈与契約を締結した団体は、預金がもらえるといった認識でしたが、実際は預金が預けられている銀行がそれを断ったため、支払いを要求するための訴訟を起こしたのが、事の発端です。
結果的に、裁判所からは締結した死因贈与契約は無効と判決がなされました。
なぜ、無効という判決になったかというと、大きく3点あります。
・訴訟を起こした団体は、今回の件以外にも、お金を持っていらっしゃる高齢者の方との間で死因贈与契約を何件も締結していた点
・身元保証契約をする際に死因贈与契約も締結する必要があるという説明を認知能力がしっかりしていない高齢者の方へ行っていた点
・死因贈与契約を公正証書ではなかった点
これら3点になります。
それらを加味した結果、今回は契約自体が適切ではないという判断がなされました。
- 七瀬さん
- 死因贈与契約は必ずしも無効になるというわけではないのでしょうか。
- 堅田先生
- そうですね。死因贈与契約が絶対無効になるというわけではないです。しかし、今回のような事案だと無効になり得ると、今後はなっていくのではないかと思っています。
死因贈与契約を締結した際のトラブルとは?
- 七瀬さん
- もし、死因贈与契約を結んだ場合、どのようなトラブルが考えられますでしょうか。
- 堅田先生
- 死因贈与契約や遺贈寄付もそうですが、亡くなった後にその高齢者の方の財産を、その身元保証団体に渡すといった契約をしていると、無効となった場合にトラブルになりやすいです。
また、その方に相続人がいらっしゃる場合だと、相続人とのトラブルになる場合があります。場合によっては、遺留分の請求がされてまたトラブルになる恐れもあります。
このように、起こりうるリスクが大きいので、死因贈与契約や遺贈寄付を身元保証とセットで締結している団体はあまりお勧めできないかなと思っています。
- 七瀬さん
- では、どういった団体にお願いするのが良いでしょうか。
- 堅田先生
- 身元保証だけをしっかりと単体で扱っているような団体にご依頼されるのがいいのかなと思っています。
身元保証契約と、死因贈与契約あるいは遺贈寄附をセットで締結しているようなやり方ですと、先程言ったようなトラブルになってしまう恐れがあります。
また、身元保証契約自体も、その契約内容が曖昧になっているような団体もいらっしゃいますので、身元保証の単体かつ、契約内容が明確な団体と契約をされるのが一番良いかなと思っています。
- 七瀬さん
- ありがとうございます。
弁護士法人オーセンス法律事務所の堅田先生より身元保証に関する裁判事例について解説をいただききました。
本日はどうもありがとうございました。
- 堅田先生
- ありがとうございました。