遺言書の書き方

公開日: 2020年07月30日

更新日: 2022年05月20日

  • 相続・遺言

遺言書には3つの種類があります。自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言、この3種類です。こちらではこの3種類、それぞれの作成方法、書き方についての説明をしていきますので、ひとつずつ確認していきましょう。

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文自筆をする遺言書の形式です。日付や名前など、全てを本人が自筆でかかなければいけません。自筆証書遺言の作成は、特に手続きをする必要もありませんのでいつでもどこでも、手軽に作成することができます。用紙や筆記具の指定もなく、縦書き横書き等の書式も決まりがありませんので、費用もかからずに作成することができます。(平成31年の法改正により、遺言書に財産目録を添付する場合について、財産目録は自筆ではなくパソコンで作成したものでも構わないことになりました。)

手軽に残せることがメリットではありますが、記載する内容には要件があり、一部でもその要件から外れている場合には効力を持たず、その内容は無効となりますので自筆遺言書を残す場合には事前にしっかりと確認をしておきましょう。

自筆証書遺言作成時の注意点

必ず遺言者本人が自書する

財産目録以外は、全て遺言者本人が自筆で書かなければなりません。代筆やパソコンでの作成は無効です。

日付を記載する

遺言書を作成した年月日を記載します。この日付は遺言書を作成した年月日を記入します。この日付も自筆でなければ認められませんので注意しましょう。日付の記載がないものについても無効となります。また、遺言書が何通もみつかった場合には、日付が新しいものが最新のものとして有効になります。

署名をする

遺言者本人自筆の署名が必要です。署名がないものは無効になります。

捺印する

実印での捺印が望ましいですが、認印や拇印でも問題ありませんが、後々のトラブルを防ぐためにも実印での捺印をおすすめします。また、遺言書が複数枚にわたる場合には、割印をましょう。

自筆証書遺言の保管制度(2020年)

今までは自宅で保管されることがほとんどであった自筆証書遺言ですが、相続があった時に発見されずに破棄されてしまうということがあったり、自筆証書遺言が見つかったとしてもすぐに開封することができず家庭裁判所での検認をする必要があり、相続手続きに入るまでに時間と手間がかかるというデメリットがありました。

こういったデメリットを回避するために、2020年7月より自筆証書遺言の保管制度が施行されます。この制度は、自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことが可能となる制度です。これにより紛失や破棄されることがなくなり、そして法務局で保管をしていた自筆証書遺言については、相続が発生した後の検認手続きが不要となります。従来の流れよりもかなりスムーズに手続きを進めることが可能になります。

また、法務局では遺言書を画像データで保存していきますので、遺言者が亡くなった場合に相続人は全国で遺言書の内容を確認することが可能になります。

公正証書遺言の書き方

公正証書遺言とは、公正証書として公証役場で保管をする遺言を言います。公正証書遺言の作成は、証人2名以上の立ち会いのもと、公証人が遺言の内容を聴き取りしながら作成をしていきますので、遺言の内容が無効になることや偽造されるといった危険を回避することができます。

ただし、自筆証書遺言に比べ費用がかかることやいくつかの条件があることを知っておきましょう。 作成に必要なものとして、実印と印鑑証明書、遺言者と相続人の関係性が分かる戸籍謄本、財産に不動産がある場合には登記簿謄本、固定資産税評価証明書、そして証人2名以上の立ち会いが必要になります。

  • 未成年者、推定相続人、受遺者やその配偶者、直系血族については証人にはなれません。ただし、遺言執行者は証人になることが認められています。

公正証書遺言のメリット・デメリット

メリット

  • 遺言内容が無効となることがない
  • 紛失、偽造の心配がない
  • 自分で自書する必要がない
  • すぐに相続手続きをはじめることができる

公正証書遺言は、公証人が無いようを確認しながら作成をしますのでその内容が無効となることはありません。

また公証役場で保管をしますので、紛失や中身を勝手に書き換えられるなどの偽造の心配もありません。自筆でなくても問題ありませんので、パソコンで作成することが出来、相続が発生した場合にも検認手続きの必要がありませんのですぐに相続手続きに入ることができます。

デメリット

  • 手続きに時間がかかる
  • 証人探しや公証人との打ち合わせの必要があり手間がかかる
  • 費用がかかる
  • 公証人、証人に遺言内容を話さなければならない

公正証書遺言の作成は、公証人へ遺言の内容を口述で伝え、その内容を公証人が書面にしていきます。書きおこした書面を、遺言者と証人に確認してもらい作成をしますので、自筆証書遺言と比べると、作成には時間と手間がかかります。費用は、遺言書に記載する財産の合計額により変わってまいりますが、やはり自筆証書遺言ではこういった費用はかかりませんので、金銭的な負担は大きくなります。

そして、公証人、と証人2人が必要となりますので、ご自身の遺言の内容を他人に知られてしまうことになります。

秘密証書遺言の書き方

秘密証書遺言とは、遺言者が作成した遺言を公正証書遺言と同様に公証役場に持ち込み遺言書の存在についてを保証してもらいます。この秘密証書遺言は、署名と押印のみ遺言者が行い、その後密封をしますので、証人も内容について確認することができませんのでプライバシーを守ることができます。

また、遺言書の保管も本人が行います。ただし、自筆証書遺言とおなじように、相続が発生した際家庭裁判所での検認手続きが必要となります。

秘密証書遺言のメリット・デメリット

メリット

  • 遺言内容の秘密を確保できる

デメリット

  • 費用が掛かる
  • 開封時、遺族は家庭裁判所の検認が必要
  • 検認を経ないで遺言を執行すると5万円以下の過料に処せられる
  • 遺言を遺したこと自体は、公証人と2人の証人(計3人の他人)に知られる
  • 遺言の内容によっては、専門家のチェックを経ていないので相続人間での 紛争を引き起こしてしまう可能性もある

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