遺言書の種類

公開日: 2020年07月30日

更新日: 2022年04月06日

  • 相続・遺言

遺言書には、主に「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」3つ方法があります。ここでは、その遺言書の種類について簡単にご説明いたします。

自筆証書遺言

自筆証書遺言についてご説明いたします。 自筆証書遺言とは、遺言者自身が作成する遺言書のことをいいます。作成の仕方は、紙を用意し、ペンで遺言の内容を記入します。作成日、署名、捺印は必須ですが、特に決まった形式等はありません。基本的には自筆で書いていただきますが、2019年1月に法改正があり、「財産目録」に限りパソコンでの作成と通帳のコピー添付が有効になりました。ただし、一部でも遺言者以外の方が記入したり、財産目録以外の項目をパソコンで作成したりすると無効となってしまいますので注意が必要です。

自筆証書遺言は、自分自身で作成できるため費用がかかりません。思い立った時にすぐ作ることができ、特に手続き等は必要がなく、いつでも更新が可能です。また、証人を必要としないため内容を他人に知られる心配がありません。 しかしながら、自筆証書遺言は手軽な反面、内容の改ざんや破棄の恐れ、記述内容の不備や間違い、保管の仕方がしばしば問題になります。遺言書は、法が定めた遺言の形式に沿って作成されていないと有効性を確保できません。遺言者の死後に遺言が見つかった時、不備が発覚するともはや訂正は出来ず無効となってしまいます。 遺言の内容はもちろん、書いたこと自体誰にも知られたくないという場合は、自筆証書遺言であれば可能ですが、遺言者の死後に遺言自体が発見されない危険性もあります。また、相続人や利害関係者が遺言を発見し勝手に開封し、もし自分にとって不利な内容であった場合有利な内容に書き換えるなど、改ざんしたり処分されたりする可能性が公正証書遺言や秘密証書遺言よりも高くなります。

また、自筆証書遺言は勝手に開封することが出来ません。開封前に家庭裁判所で検認の手続きをしなければ無効となってしまいます。検認前に遺言書を開封してしまうと罰則が科せられるので注意しましょう。なお、2020年7月に自筆証書遺言書の保管方法についての新しい法律が施行されます。この新法により、自筆証書遺言書の保管を法務局で行うことができるようになり、この新法の施行後に法務局に保管をしていた自筆証書遺言書に関しては家庭裁判所での検認手続きは不要になります。

公正証書遺言

公正証書遺言についてご説明いたします。 公正証書遺言とは、公証人役場で作成する遺言書のことをいいます。公正証書遺言を作成するには、公証人と2人以上の証人の立ち合いが必要です。遺言者が遺言内容を公証人に話し、それを公証人が書き留めて、公正証書として作成します。公証人が公正証書を作成した後は、公証人が遺言者と証人にその内容に間違いがないか確認します。確認が取れましたら署名捺印をし、原本が公証役場で保管されます。

証人を選任する際には、遺言者の推定相続人や直系血族、受遺者等、利害関係が生じる人物、また未成年者は選出できませんので注意が必要です。上記に該当しない人物であれば、友人や知人などに頼むことも可能です。また、行政書士や司法書士などの専門家に遺言書作成の依頼をしている場合には、その事務所で証人を引き受けてくれることもあります。

公正証書遺言は、公証人と証人には遺言書の内容を知られてしまいますが、公証人と証人にも守秘義務がありますので、遺言の内容を推定相続人など、関係者に知られることはありません。 確実にご自身の希望を伝えたい場合は、公正証書遺言をおすすめします。自筆証書遺言に比べると費用も手間もかかりますが、作成した遺言書の原本は公証役場で保管されますので、紛失や改ざんされる心配がなく、安全です。また、開封する際の家庭裁判所での検認の必要もありません。また、作成時に遺言書の書式もチェックされるため、不備によって無効になることもありません。 ただし、誰にも遺言の内容を知られたくない方や遺言を作成したこと自体秘密にしたい方は、公正証書遺言での遺言作成はおすすめできません。

秘密証書遺言

秘密証書遺言についてご説明いたします。 秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の双方の特徴をもった遺言作成方法です。 公正証書遺言と同様に公証役場で作成し、原本は公証役場に保管されます。遺言内容は、パソコンで作成した内容でも有効です。証人や公証人による中身の確認がないので、遺言内容は誰にも知られることがない分、法的な相違がないか等の確認もありません。 遺言内容は秘密にしたいが、自分で遺言書を保管するのは改ざんや紛失の心配があるという方に有効です。しかしながら、公証役場で作成する際費用がかかりますが、法的に有効かどうかのチェックもなく、開封時には自筆証書遺言と同じく、家庭裁判所で検認をしてからでないと開封できないため、おすすめはできません。

その他の遺言

上記で説明した方法以外に、危急時遺言という方法があります。 危急時遺言とは、遺言者に死が差し迫った状態であり、かつ前述した3つの遺言ができないという際に行う、特別な遺言の方法です。 しかし、危急時遺言は、証人が3人必要であり、死が差し迫った状態で冷静に遺言を伝えることが困難などの理由から、実際に利用されることはほとんどありません。 遺言者自身にあった遺言の方法で遺言書を遺しておくことで、残された家族の負担が軽減され、相続手続きがスムーズに進められますので、遺言書の作成を含めた相続対策を早めに進めることをおすすめいたします。

くらし全般

身元保証

相続・遺言

介護・高齢者施設

葬儀・供養