家族信託(民事信託)とは

公開日: 2020年07月29日

更新日: 2024年07月02日

  • 相続・遺言
家族信託(民事信託)という言葉をご存知でしょうか。信託というと信託銀行を思い浮かべるかもしれませんが、家族信託はそれとは異なり、営利を目的とせずに家族や親族間で行う信託の事を言います。家族信託は近年メディア等にも取りあげられ、その活用方法に注目が集まっています。それは活用の方法によって、今まで難しかった財産の承継や、財産の管理の問題点を解消する手段になると期待されているからです。今回はこの家族信託の仕組みやメリット、デメリット等について解説させていただきます。

家族信託と商事信託

上記でも触れましたが、家族信託は信託のサービスとは異なります。信託銀行などが事業として行っている信託を商事信託といいます。信託銀行は信託業務を行うことにより顧客から利益を得ているので、営利目的であるといえます。受託者である信託銀行等は、信託業法という法律に沿って、財産の適切な管理や受託者としての義務を負い、業務として信託を行っているのです。 一方家族信託では営利目的の事業として信託を行う事は出来ません。家族信託では主に自らの財産を預ける委託者が財産を適切に管理してくれる人である受託者を選び、依頼します。商亊信託とは違い、営利を目的としないため信託業法の制限をうける事はなく、また個人・法人を問わずに契約を結ぶことが出来ます。

家族信託の仕組み

家族信託は簡単に説明すると、ご自身が所有する財産を、自分以外の家族などに管理や処分ができる権限を与えるための手段になります。今はご自身で自分の財産を管理できたとしても、認知症などになってしまうと今まで当たり前に行えたことが、難しくなってしまうでしょう。そのような場合に備えて信託契約書を事前に準備しておく方もいらっしゃいます。 家族信託は、財産の所有者かつ財産を託す人である委託者、信託契約を結ぶことで委託者より財産を託される人である受託者、託された財産(信託財産)より得た利益を受ける受益者の3者の関係により成り立っています。委託者に財産を託された受託者は信託契約の内容に基づき、信託財産の管理・運用・処分を行うことになります。そこで発生した利益を受け取るのが受益者です。もちろん委託者=受益者のケースである自己信託も可能です。

家族信託の「メリット」「デメリット」とは

家族信託のメリット

家族信託の代表的なメリットの一つとして、自由度の高い財産管理を行えるという事があげられます。信託契約の内容にもよりますが、基本的に委託者の生前・死後問わずに、信託財産の管理や運営方法について自由に委託者の意思を反映、設定することが可能です。 仮に委託者が認知症になってしまったとしても、信託契約は継続し、信託契約に基づいて受託者が管理を行うことになります。従来そのような場合には後見制度が活用されていますが、後見制度では対応のできなかった相続税対策等についても家族信託であれば調整を行うことができるのが大きな違いと言えるでしょう。 また、家族信託では財産の承継についても自由に設定ができます。財産の承継についての意思表示をするには遺言書を作成するという方法がありますが、遺言書では2代先までの相続する人を指名することはできません。例えば先祖代々受け継いできた土地を自分の長男に相続させ、長男の死後には、長男の子供(孫)に相続させたいと考えたとしても、土地を相続した長男の意思によりその土地は承継されるため、必ずしも孫に受け継がれるとは限らないのです。一方家族信託では、信託財産から発生した利益を受け取る受益者を自由に設定することができます。そのため第一の受益者を息子とし、第二の受益者を孫に設定しておけば、息子の死後、受益権は孫が取得することになり、結果、財産による利益を孫が承継することになります。このような信託を後継遺贈型受益者連続信託といい、この活用を期待して家族信託を検討されるケースも多く見られます。

家族信託のデメリット

家族信託は、成年後見制度における財産管理の不自由な点を補うことが可能であることをメリットとしてお伝えいたしましたが、成年後見人の役割である「身上保護」については行うことができません。成年後見人は法定代理人となりますが、信託契約の受託者はあくまで信託契約に基づき信託財産の管理・処分等を行うことが役割です。契約の中には成年後見人でなければ行うことができないケースもあるため、制度の仕組みを理解し、目的に合った制度を選ぶことが重要です。 また、家族信託を行う上で注意が必要なのは税金の問題です。委託者=受益者であるケースを除き、財産が委託者から受益者に移るとみなされるため契約が発効した時点で贈与税が発生するので注意が必要です。

家族信託をうまく活用しよう!

家族信託は高齢化が進む現代において注目度の高い制度ではありますが、注意すべき点がいくつか存在します。仕組みを理解せず安易に信託契約を結んでしまっては、せっかく時間をかけて準備をしてもご自身の意に沿った結果にならない場合もあります。まずはどのような希望や目的があるのかを明確にし、家族信託をうまく活用できるか専門家に相談することをおすすめします。

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